協和発酵は主力品である高血圧症・狭心症治療薬(持続性Ca拮抗剤)「コニール錠4」を自主回収している。コニールの10錠入りPTP包装の中に抗アレルギー薬「アレロック錠5」が1錠混入しているとの報告が薬局などから寄せられ、他にも混入のおそれがあると判断したため。回収対象は4月4日から9月3日まで出荷された25ロット分、錠数にして6691万3200錠で、薬価ベースで48億円分に上る。納入施設は薬局を含め5万7000という。
このケースの危険度は「重篤な健康被害のおそれはまず考えられない」というクラスII。もしアレロックを服用すると眠気が現れることがあり、コニールをのまなかった場合は降圧効果が弱められるおそれがあるが、協和によると12日現在、健康被害は報告されていない。
両剤はそれぞれ錠剤の色が異なり、コニールは黄色、アレロックは淡黄赤色というピンクがかった色だが、見分けづらい。
協和によると、8月に新潟の医院と福岡県の調剤薬局からアレロックが混入していることが報告され、10日に東京都に報告。他にも混入しているおそれが否定できないとして即日から自主回収となった。
これまでの同社の調べでは、「アレロック錠5」を静岡の富士工場から山口の宇部工場に移管することに伴うバリデーション後、機器の洗浄が不十分でアレロック錠が付着したまま、コニールの製造ラインを動かし、コニールの包装に混入したと推測される。不良品を排除する検査で、錠剤の色を判別する条件設定が十分でなかったことも影響したとみられるという。
コニールは、2006年度は決算ベースで263億円を売り上げており、アレロックと共に医薬品事業の業績を支える主力品。