薬剤師から患者の声収集‐RMP情報提供サイトも開設
CACエクシケアは、薬剤師に焦点を当てた医薬品リスク管理計画（RMP）の運用支援に乗り出している。薬剤師による副作用モニタリング情報を収集し、リスク最小化策の効果測定サービスを開始したほか、今月から薬剤師向けに医薬品医療機器総合機構（PMDA）のホームページに公開された全品目のRMPの概要を、一覧形式で情報提供するウェブサイト「e-RMP update」を立ち上げる。ウェブサイト上から無料で登録でき、自由検索や成分名・薬効分類などからの絞り込みにより、薬剤の安全性情報を簡単に確認できる。今後、“RMPのプラットフォーム”へと発展させ、薬剤師の安全管理業務に役立てていく。
医薬品開発業務受託機関として事業展開を進める同社は、「RMP事業部」を設置し、他社に先駆ける形で製薬企業向けにRMP実装支援サービスを提供している。現在、「安全性検討事項」「リスク最小化計画」「医薬品安全性監視計画」といった三つの要素に的を絞った独自の支援ビジネスを展開する戦略を貫く。サービス第一弾となる安全性検討事項のシグナルマネジメントとしては、RMPの運用段階で重要なリスクを可視化するITソリューション「Important Risk Visualizer」（IRV）を提供。製薬大手を中心に実績が出始めている。
さらに今回、副作用の早期発見・対応や未然に防止するリスク最小化策の効果検証として、着目したのが薬剤師へのアプローチだ。患者へのリスク伝達という観点から、医療従事者との安全性コミュニケーションが重視されており、同社では患者との接点が増えている薬剤師から副作用モニタリング情報を収集するサービスにも着手している。
添付文書の改訂などの安全対策が医療現場でどこまで行き届いているか、医師に伝えた情報がどこまで患者に伝わっているか。評価軸として重要視するのが「患者の行動・意識がどう変化したか」。製薬企業のMRは医師向けの情報提供が主体で、薬剤師へのリスク伝達や情報収集が十分でない状況から、同社が薬剤師を通じてリスク最小化策の効果を測定し、得られた結果を製薬企業にフィードバックしている。
しかし、薬剤師が製造販売後の安全対策で重要な役割を握るといった半面、RMPという制度があまり認知されていないのが現状。こうした状況を打開するため、同社では薬剤師向けのRMP情報提供ウェブサイト「e-RMP update」を立ち上げた。執行役員RMP事業部長の北島行雄氏は、「一人でも多くの薬剤師さんにRMPへの関心を持っていただきたい」と話す。
「e-RMP update」は、PMDAのホームページで公表している各品目の概要を一覧で表示する。情報は毎週更新されており、成分名や薬効分類などで検索をかければ、販売名コードや効能・効果のほか、安全性検討事項のリスク最小化活動、それが添付文書とどう関連しているかまで確認することができる。
RMP作成日の項目も付けられており、作成後に改訂された場合も確認が可能。RMPの記載内容について、より深い情報が知りたければ、「e-RMP update」からPMDAのホームページにも飛べる仕組みとなっている。
北島氏は、「製薬企業の中でも、自社製品のRMPに関しては概要をまとめたシステムを持つ会社もあるが、われわれが情報を提供できるようにして、薬剤師さんがRMPのサイクルに入るのを支援したい」と話す。同種同効品との比較も可能で、例えばSGLT２阻害薬のRMP状況を一覧で確認することもできる。
ウェブサイト内のコンテンツも充実させており、週に１回、「RMPの理解度確認テスト」として、クイズ形式で理解度をチェックする機会を提供するほか、ウェブサイト上から聴講が可能な「RMP説明会」も設置する。
一方、医薬品安全性監視計画については、医療データベースを運営するメディカル・データ・ビジョンと協業し、医療DBを活用したリスクスクリーニングにも着手。間もなくサービス化する見込み。北島氏は、三つの自社サービスを投入し、「安全対策でより重要な領域で自社資源を振り向けられるようにサポートしていきたい」と話す。
CACエクシケアでは、製薬企業で安全性管理業務を経験した人材を揃えており、製薬各社の開発パイプラインやリソ
ースに応じ、自社サービスをRMPの業務手順の中にどう組み込んでいくかを一緒に立案できるコンサルティングも実施しているのも強みだ。
株式会社CACエクシケア
http://www.exicare.com/service/
