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激しい新薬開発競争が行われている癌領域への参入を表明した独べーリンガーインゲルハイム(BI)は、抗癌剤の研究開発を前進させた。公表している三つの開発品のうち、「イレッサ」など第一世代のEGFR阻害薬に耐性を示す腫瘍にも活性が示唆され、分子標的型の非小細胞肺癌として開発しているされている「BIBW2992」(経口剤)が欧米でPIIIに入ることになった。また、抗体の探索・開発に特化しているベルギーのバイオベンチャー・アブリンクス(Ablynx)と新規抗体医薬の探索・開発などでの提携し、注目されていた抗体による癌治療薬の研究開発に弾みをつけた。
BIBW2992のPIII入りは、韓国・ソウルで開催された第12回世界肺癌学会議(WCLC)で発表された。現在、米FDA(食品医薬品庁)、EMEA(欧州医薬品審査庁)との間で、PIII開始に向け最終調整段階にあるという。それ以外の公表している開発品は海外でPIIにあり、BIBW2992は最も進んでいる開発品となったが、PIII開始時期、承認申請見込み時期は明かしていない。日本では今年中のPI開始を計画している。
同剤は、癌細胞の成長に関与する蛋白質EGFRとHER2を阻害するシグナル伝達阻害薬。また非可逆的な拮抗作用をもち、受容体の活動も強く抑制する。WCLCで発表された主な治験結果によると、いくかつの固形癌を有する患者を対象としたPIでは、EGRR変異を有する非小細胞肺癌で有望な結果が得られている。
非小細胞肺癌患者の20%(女性2例、男性1例)で、腫瘍の縮小効果(PR)が認められ、このうち2例は、女性や非喫煙者および腺癌患者に多いことで知られる遺伝子変異である「EGFRエクソン19の欠失変異」のある患者だった。
PIIでは第一世代のEGFR阻害薬に耐性を示す腫瘍にも活性が示唆された。同社は「予後不良や進行癌に関連するEGFRとHER2という二つの腫瘍遺伝子を不可逆的に阻害する」作用によるものと説明している。
これら開発品の一方で、独BIは抗体医薬をはじめバイオ医薬の生産では世界最高水準のノウハウを持つことから、抗体による癌治療薬の展開が注目されている。その中で7日、抗体の探索・開発に特化しているベルギーのバイオベンチャー・アブリンクスと、癌領域を含む新規抗体医薬の探索・開発・販売について戦略提携を締結。共同で新規抗体医薬の創製を目指すことになった。
アブリンクス社は、経口だけでなく、注射や経皮からも投与可能な「ナノボディーズ」という独自技術で探索、開発を進めている。
1月に両社はアルツハイマー型認知症治療薬の探索・開発で提携していたが、今回の提携はこれとは別に、癌のほか免疫、呼吸器疾患領域で最大10種に及ぶナノボディーズを用いた新規抗体医薬の探索・開発などを共同で進めるものだ。
BIは抗体医薬候補の開発、生産、販売を独占的に実施する権利を有し、アブリンクスはその製品についてコ・プロモーション権を持つ。
この提携でBIは、探索研究期間に7500万ユーロ、これとは別に開発ステージに応じて最高1億2500万ユーロのマイルストンなどをアブリンクス社に支払う。
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