2005年の麻しん発生報告が、過去最低を記録したことが、厚生労働省・国立感染症研究所がまとめた感染症週報(第16週)に報告された。しかし、今年に入ってからは、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都など東関東を中心に発生地域が拡大し、報告症例数の増加が懸念される状況にあると注意を喚起している。
感染症発生動向調査における小児科定点医療機関の麻しん累積報告数は、01年の3万4000件をピークに年々減少し、05年は545件と過去最低となった。これは01年の全国的流行以後、1歳早期のワクチン接種キャンペーンが小児科医や地方自治体などで行われ、市町村レベルでは1歳児の接種率が90%を超えるところが見られるなど、感受性者の減少が理由と見られている。
しかし週報では、04年の感染症流行予測調査報告書で、[1]1歳児の麻しん抗体保有率が70%台にとどまっている[2]1歳以上40歳未満には、数%の感受性者が見られる――点を挙げ、「最近の状況は、患者の減少によりウイルスに暴露される機会が減少する一方、ワクチン接種は十分でなく、感受性者が蓄積している可能性が高い」と分析している。
さらに週報では、今年405月にかけ、茨城県竜ヶ崎保健所管内や千葉県鎌ヶ谷市で、ほぼ同時期に集団発生が確認されたこと、小児科定点医療機関の報告で、第14週に栃木県2例、東京都1例、第15週で埼玉県2例、茨城県1例、東京都1例、第16週は埼玉県3例、茨城県1例、千葉県1例、東京都1例と、東関東地域を中心に患者が発生していることを紹介。
▽麻しん発生は夏季に向かって増加する▽麻しんは保育施設や学校での集団感染で、容易に地域流行に発展していく可能性がある――ことを指摘し、今後の発生動向を注意深く観察することに加え、保健所等や医療機関、学校・職場等が連携して、速やかに対応することが重要と、注意を呼びかけている。