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経済産業省は、「2006年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」結果を公表した。06年度末時点で、大学発ベンチャーの数は1590社で、5年前と比べ2.7倍も増えていることが分かった。業種構成ではバイオ系が最も多く、地方圏に所在する大学発ベンチャー数が5年前の3・2倍となるなど、地方での増加が目立っていた。同省では、大学発ベンチャーは新たな時代を迎えており、今後は成長指向の多様性への対応と、地域経済における重要性を考慮した環境整備などが必要との見方を示している。
大学発ベンチャー1590社では、「大学で生まれた研究成果を基に起業したベンチャー」が971社で全体の61.1%を占めた。また、大学と関連の深いベンチャー619社の中では、「大学と深い関連のある学生ベンチャー」が262社(全体の16.5%)に上っている。
1590社の設立年度ごとの分布をみると、98年の大学等技術移転促進(TLO)法の制定以降で、増加傾向がみられている。また、コアベンチャー(「大学で生まれた研究成果を基に起業したベンチャー」と「大学と深い関連のある学生ベンチャー」の合計)の割合も増加し、現在は1233社で全体の4分の3を超えている。
事業分野としては、売上高研究開発費比率が高く、大学の有する研究シーズを活用しやすいバイオ分野が39.5%と最も多く、特に05年度に設立された企業数では全体の5割近くを占めた。2番目に高いのは、ITソフト分野(30.2%)だが、単年度設立数べースではシェアを減らしている。また、機械・装置分野(18.0%)は、直近の2年ではシェアを増加させている。
一方、大学発ベンチャーの業績は堅調に推移しており、直近の1社当たり平均の売上高は1億7700万円で、全業種とも一期前と比較して増加している。ただ、全業種の売上高の増加率(16.5%増)に比べ、バイオ系の売上高の増加率(6.7%増)は小さくなっている。
さらに、営業利益は依然赤字が続いており、その赤字幅は、一期前に比べやや増加している。業種別では素材・機械等の「その他」業種は一期前に比べ、赤字が減少しているものの、バイオ系、IT系の営業利益の赤字額は増加しており、繰越損益の赤字幅も高い水準が続いている。
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