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15016日に第7回CRCと臨床試験のあり方を考える会議‐井部会議代表にインタビュー

2007年09月06日 (木)

井部俊子氏
井部俊子氏

 第7回「CRCと臨床試験のあり方を考える会議 2007 in 横浜」が15、16の両日、「臨床試験におけるコンフリクト・マネジメント」をメインテーマに、横浜市のパシフィコ横浜で開かれる。多くの日本臨床薬理学会認定CRCが現場に定着しつつある中、CRCの全体的なレベルアップは誰もが認めるところとなっている。こうした中、今回の会議では、被験者に納得して臨床試験に参加してもらうため、いかに現場でのコンフリクト(葛藤)を解消していくかを考えるテーマが掲げられた。また、プログラムはCRCの抱える共通の問題点(アジェンダ)を設定し、討議を踏まえて結論を導く「会議」形式としているのも大きな特徴で、従来のシンポジウム主体から脱却し、本来の目的であった参加者主体型の会議が指向されている。そこで、今回の会議の趣旨や見どころについて、第7回会議代表を務める井部俊子氏(日本看護協会・聖路加看護大学学長)にお話をうかがった。

■テーマは“コンフリクト・マネジメント”

 ””第7回会議の考え方について、お話しいただけますか。

 井部 CRCには、臨床試験を調整する役割が求められており、治験責任医師、分担医師、治験依頼者、病棟や外来の看護師、被験者やその家族など、様々な人たちに配慮しながら業務を進めていかなくてはなりません。その意味では、臨床試験を実施する上での方法論上の問題、感情的な対立など、現場におけるコンフリクトがあると思います。

 こうした様々な葛藤を、どうやって上手く処理していけるかという「コンフリクト・マネジメント」をテーマに掲げました。その中で最も大切な視点として、医療従事者が被験者に対し、どのように納得していただきながら、臨床試験を進めていくのかもテーマに含みたいと思っています。

 このようなことを踏まえて、招待講演「コンフリクト・マネジメント」を和田仁孝先生(早稲田大学大学院法務研究科)にお願いしています。医療におけるコンフリクト・マネジメントは、医療事故をめぐって患者と医療従事者間に共通の課題が横たわっているという考え方で、お互いに生じた感情的な混乱や不信感を訴訟ではなく、対話を通して解決していこうとするものです。和田先生は、裁判外紛争解決(ADR)、コンフリクト・マネジメント研究の第一人者ですので、ぜひ皆さんに聞いていただきたいと思います。

 その上で、コンフリクト・マネジメントの概念を、いかに被験者に好意的な気持ちで臨床試験に参加してもらうかを想定した積極的な意味で捉えて欲しいです。

 ””プログラム構成を「会議」に変更されたのは、どういった趣旨からですか。

 井部 「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」は学会ではなく、まさに関係者が一堂に会して、共通の問題点の解決へ向けた意見交換を行う会議として発足しました。そこで今回のプログラムでは、CRCの抱える様々なアジェンダを設定し、それについて参加者が討論して、一定の見解を導くような会議にしたいと考えています。アジェンダの設定については、プログラム委員の方々に課題を出していただき、それを話し合いの中心に据えていきたいと思っています。

 また、会議形式のプログラムは初級者、上級者、全体、専門領域に分けています。CRCの方々の意見を聞くと、初心者が直面しやすい問題と、認定CRCを取得した上級CRCが改めて感じる問題があるようです。その意味で、自分がどの会議に参加すればいいか分かりやすくするために、レベル別の会議を設定しています。その上で、初めての試みとして、会議の内容を報告書という形でまとめる予定にしています。

 一方で、一般演題のポスター発表は例年通りに行います。毎年、最後に認定CRCの投票による優秀ポスター賞を表彰していますが、今年は参加者全員に投票してもらうことにしました。ただし、認定CRCの投票には高い得点が与えられます。

 ””その他に、今回の会議で特徴的な試みはありますか。

 井部 ポスター発表の中から、会議のセッションに関連する演題を発表される人に、話題提供者として壇上に上がっていただき、議論に参加してもらうことを計画しています。やはり、全体としては参加型の会議にしたいと考えていますので、聴衆でいるのではなく、できるだけ会議に参加していただければと思っています。

 実際には、かなり人数の多い集まりですから、会議形式もやってみないと分かりませんが、シンポジウムのような形にならないことを願っています。最近は、「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」も2000人以上の参加者があるほどの大きな規模になり、学会のような雰囲気になってきています。それだけに、今回シンポジウムと会議で内容がどのように違うのかということも、一つの試みとして注目すべき点だと思います。

 もともとCRCは、看護師、薬剤師、臨床検査技師など様々な職種からなっており、しかも病院、SMOといった所属の違いもありますから、1年に1回、立場の違うCRCが一堂に会して、あるテーマについて議論するのは非常に重要なことだと思います。

 今回は、参加型の会議が大きなテーマです。ぜひ多くの方々に積極的に参加していただければと期待しています。



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