“
|
厚生労働省は28日、都内で開かれた「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(座長:嶋口充輝医療科学研究所長)に、未妥結・仮納入などの流通問題を是正するために、取引当事者の留意事項をまとめた「医療用医薬品の流通改善について(緊急提言案)」を提示した。次回会合(9月28日)で正式にまとめ、中央社会保険医療協議会に報告する。提言案は、製薬企業に対して、割り戻し・アローアンスの基準は薬価内示後、1次仕切り価は薬価告示後に速やかに流通業者に提示することなどを求めたほか、医療機関や薬局等に対しても、早期の価格妥結を促す内容となっている。
「公的保険制度下における取引信頼性を確保する観点から」という副題がつけられた提言案では、薬価調査の信頼性を損なう恐れがある未妥結・仮納入や総価取引が、医療の基盤をなす医療用医薬品の循環的サイクルを機能させなくする危惧があるとし、改めてメーカー、卸売業者、医療機関、薬局の各取引当事者に対して、今回示される留意事項の意義を踏まえた、流通改善の取り組みを求めているのが特徴となっている。
このうち、メーカーと卸売業者間の課題として、一次売差マイナスと割戻し・アローアンスの拡大傾向を改善することを挙げ、▽仕切価の速やかな提示等▽適正な仕切価水準の設定▽割戻し・アローアンスの整理・縮小と基準の明確化””を留意事項として提示している。
特に仕切価水準については、「割戻し・アローアンスのうち、1次仕切り価格に反映できるものがあれば、反映することが望ましい」と明記。さらに、割戻し・アローアンスについては、メーカーに対し、一層の基準明確化と適正な運用に努めるよう求めたほか、▽高率なアローアンスはできるだけ整理・縮小し、仕切価修正的なアローアンスの割戻しや一次仕切価に反映することが望ましい▽期末におけるアローアンスの見直し等はあらかじめ、仕切価や割戻しへの反映を行うことで、こうした運用を廃止することが望ましい””などの対応を求めている。
一方、卸売業者と医療機関/薬局の取引における留意事項では、「長期にわたる未妥結・仮納入の改善と総価契約の改善」が課題と指摘され、▽経済合理性のある価格交渉の実施▽医薬品の価値と価格を反映した取り引きの推進▽モデル契約書に基づく契約締結の一層の推進””など、具体的な方策が示されている。
また、長期にわたる未妥結・仮納入を、「原則6カ月を超える場合を指す」と定義。その上で、「早期妥結の期間としては、上場企業に義務づけられる四半期報告に対応した時期での妥結が望ましい」「医療機関/薬局は、卸売業者との価格交渉では早期妥結が見込めない場合には、多様な取り引き方法を検討することが望まれる」などと指摘した。
“