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第一三共ヘルスケアは9月4日から、しみの一種である肝斑(かんぱん)の治療薬「トランシーノ」(一般用医薬品)を新発売する。臨床現場で肝斑治療に用いられるトラネキサム酸に、L‐システインやビタミンC等を組み合わせることでメラニンの生成をブロックし、症状を改善する。「しみ(肝斑に限る)」の効能効果を取得したのは、一般用医薬品で初めて。都内で開かれた新製品発表会で、井出口盛哉社長は「今までにない効能を取得した画期的な製品として、OTC医薬品市場の中で新たな市場を形成するものと期待している。初年度売上高(明年3月まで)は店頭ベースで50億円、次年度以降は80億円を狙っていきたい」と強調した。
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メラニンが過剰に蓄積していることに起因するしみには、老人性色素斑(日光性黒子)、そばかす、炎症後色素沈着など、いくつかの種類がある。このうち肝斑は、30040歳代の女性に多く見られるしみで、特徴としては圧倒的に女性に多いこと、閉経後の女性に見られないこと、妊娠や経口避妊薬の摂取で増悪するなど、女性ホルモンの乱れに起因することが挙げられる。症状は薄い褐色で、目の周りを避け、頬骨に沿って左右対称にしみが発症する。
臨床的には、トラネキサム酸が肝斑を改善する効果が多数確認されており、副作用が非常に少ないこともあって、現在では肝斑治療の第一選択肢として多くの皮膚科医がトラネキサム酸を処方(保険適用外)している。
「トランシーノ」は、このトラネキサム酸をはじめL‐システイン、ビタミンCなどの成分が、メラニン生成を促す伝達物質の産生を抑え、さらにメラニンを作るチロシナーゼの働きそのものを抑えるという2ステップブロックの働きで、しみを改善する。
同社の既存の美白関連品では、ビタミンC主薬製剤「システィナC」があるが、1日量中のL‐システイン240mg、アスコルビン酸(ビタミンC)300mg、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)6mg、パントテン酸カルシウム24mgといった主成分はまったく同量であり、新製品の「トランシーノ」は、これにトラネキサム酸750mgが加わったことで、しみ(肝斑)に対してより高い改善効果を有する。カロリーオフのフィルムコーティング錠で、成人(15歳以上)1回2錠を1日3回服用する。税込み希望小売価格は180錠入り(約1か月分)5880円。
井手口社長は「トランシーノは、高い専門性と革新性を有しているため、薬局・ドラッグストアで高度な知識、スキルがより発揮できる製品ともいえる。しかし一方で肝斑というしみを、いかに女性に認知してもらうかが重要な鍵となる。先般行った調査でも、肝斑の認知率は10%程度にすぎなかった。多くの女性に向け、肝斑というしみの知識と共に、その悩みを解消できる製品(トランシーノ)があることを、強くアピールしていきたい」としている。
しみに悩む女性では、肝斑である人が約4割くらいを占める一方で、実際に肝斑の認知度はそれほど高くない。同社では「この知られていないという事実をチャンスと捉え、潜在化している肝斑市場を顕在化させ、新たな価値を提供していく」(輪竹麻美研究開発部製品開発担当)とし、35054歳ぐらいの年代をメインターゲットに設定。CMには人気ヘア・メイクアップアーティストの藤原美智子を起用し、マスコミ媒体や店頭、専用サイトで幅広くプロモーション展開していく。
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