厚生労働省健康局長 新村和哉
昨年は、デング熱の約70年ぶりの国内発生、西アフリカにおけるエボラ出血熱のまん延など、新たな感染症への対応が大きな課題でありました。また、鳥インフルエンザ(H7N9)および中東呼吸器症候群(MERS)についても、海外ではまだ収束しておらず、引き続き注視が必要となっています。このため、昨年、より効果的な感染症対策を講じるため、その発生状況を確実に把握し、病原体の種類・特性や感染経路など感染症に関する情報を迅速かつ的確に収集することができるよう、感染症法の改正を行いました。
今後、同法の円滑な施行に取り組んでいきます。また、エボラ出血熱などへの当面の感染症への対応については、行政や医療機関における対応力を強化すると共に、感染症に関する正しい理解を国民に普及させるなど、対策に万全を期していきます。
この1月1日から、難病の患者に対する医療等に関する法律が施行されました。今後、この新法に基づき、難病の克服および患者の地域社会での共生を図るため、医療費助成や治療方法の開発に向けた調査研究の推進等の総合的な対策に取り組みます。
健康寿命の延伸は、政府の大きな目標の一つであり、例えば、日本再興戦略では、健康寿命を一歳延伸させることを具体的な目標として掲げております。このため、がん対策、生活習慣病予防をはじめとした健康増進施策をさらに強力に推進していきます。
生活習慣病対策については、昨年7月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の下に「健康日本21(第2次)推進専門委員会」を設置しました。健康寿命の延伸や健康格差の縮小をはじめとした「健康日本21(第2次)」の目標項目の進捗を確認すると共に、有識者からご意見をいただきながら、食生活の改善やたばこ対策などを着実に行うことで、最終的には2022年度までに「健康日本21(第2次)」の目標が達成できるよう取り組みを推進していきます。
予防接種施策については、昨年10月に、高齢者の肺炎球菌ワクチンと水痘ワクチンの定期接種が開始されました。予防接種基本計画で示された中長期的なビジョンに基づいて、厚科審予防接種・ワクチン分科会において、B型肝炎ワクチン等について定期接種の拡充等の検討を進めるなど、総合的かつ計画的な推進を図っていきます。