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インターネットなど医療機関(薬局含む)以外からの医薬品の入手経験を尋ねた二つの調査結果が公表された。一つはファイザー日本法人によるもので、過去5年に医療機関以外から入手した経験のあるのは15.4%だった。一方、医療関係の販促支援を行う電通サドラー・アンド・ヘネシー(DS&H)は、ED(勃起不全症)治療薬に絞って調査し、ED治療薬を使ったことのある男性では、半数以上の52.4%が医療機関以外からの入手経験があった。ファイザーの調査では一般薬も含まれているが、医師の診断・処方を経ない形での医療用薬の入手の広がりを示唆する結果となった。
ファイザーの調査は3月、20歳以上の男女9806人を対象に、インターネットを介して行われた。
それによると、過去5年に医療機関以外から入手した経験のあるのは15.4%。性別、年齢にかかわらず広く存在していた。そのうち、入手先はインターネットが17.9%、知人・友人からが25.4%だった。
入手した医薬品で多いのは「解熱鎮痛剤」「抗生物質」「アレルギー関係の薬剤」で、中には日本でも承認されている医療用薬のほか、一般薬も含まれていた。
医療機関を経ないで医薬品を入手する理由を尋ねたところ、「手軽に購入できるから」が75.0%、次いで「製品が信用できるから」が61.6%だった。
しかし、副作用を経験した人は16.0%に上った。副作用の経験割合いが高い薬剤は「癌関係の薬剤」(38.1%)、「うつ関係の薬剤」(27.1%)。副作用を経験した人のうち58.9%が「副作用は出たが医療機関に行かなかった」と回答した。
医療機関以外からの入手では、ニセ薬を手にしてしまう危険性があるが、それを知っているのは37.3%。危険性を知っていても入手しているという人もいて、17.2%に上った。
一方、DS&Hの調査は6月、インターネットで20代060代のED(勃起不全症)治療薬を使ったことのある男性500人を対象に行われた。使ったとされる薬は「バイアグラ」が61.8%、「レビトラ」が5.8%で、「わからない」も2.4%いた。
使用率が高かったバイアグラの入手方法は、医師の処方が41.9%だったのに対し、処方以外での入手が52.4%に上った。いずれも経験があるは5.6%だった。
処方以外の人の入手経路は、インターネットが49.8%で最も多かった。次いで友人・知人からが41.9%、個人輸入等の店頭での購入が12.3%だった。
ファイザーは、同社の調査結果について「多数の個人輸入代行業者の運営するサイトでは、誰でも簡単に海外の医薬品などを入手することが広告されている。しかし、海外の医薬品を安易に入手して使用することは、偽造医薬品などのリスクを伴う大変危険な行為であることを認識することが必要」と指摘している。
DS&Hの調査については、EDなどに詳しい浜松町第一クリニックの竹越昭彦院長が、同社を通じ「正しい診断がなされていない状態での服用は、患者さんの健康被害につながることが懸念される」とコメントしている。
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