厚生労働省の「予防接種に関する検討会」は、予防接種機会確保のため、混合ワクチン対象疾病の一部に罹患歴があっても、接種ができるよう政令改正することを決めた。麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)、ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン(DPTワクチン)、ジフテリア・破傷風混合ワクチン(DTトキソイド)の3種が対象になる。特にDPTでは単味ワクチンがないため、既罹患者への定期接種機会が制限されていたことから、予防接種の普及が期待される。来年度から実施の予定だ。
現行の予防接種法施行令では、罹患歴のある場合は定期予防接種の対象者とならない。これは接種を禁止するものではなく、免除するという意味だが、事実上、接種機会の制限につながっていた。
そのため、日本小児科学会は検討会に、混合ワクチンの推進に関する要望書を提出していた。要望書では▽ジフテリア、百日咳、破傷風に関し、現在はDPTワクチンのみが定期予防接種の対象であり、単味ワクチンがないため、既罹患患者は接種機会を逸する▽麻疹流行時に単味ワクチンが入手困難となった””などの問題点を指摘。「対象となる疾患の一部に罹患歴があっても、該当する疾患に対するワクチンを含む混合ワクチンの接種を定期予防接種の対象とする」ことを提案した。
さらに要望書では、既に免疫を得ている人がワクチン接種することによって、有害であるとのエビデンスはほとんどないとことや、世界的にも接種率向上、利便性の確保等の理由で、混合ワクチンの開発導入が進んでいることを理由に挙げた。
これを受け検討会では、対応案として既罹患患者に対し、▽麻疹・風疹の場合はMR混合ワクチンが使用可能▽百日咳・破傷風の場合はDPT、DT混合ワクチンが使用可能””とすることにした。ただジフテリアについては、7歳以上におけるDPT、DT混合ワクチンの接種は過剰反応の恐れがあるため、7歳未満に対してのみ、DPTワクチンを使用可能とした。