エーザイのアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」の軽度患者への使用・保険償還を認めないとする英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイダンスに対するエーザイの司法審査で、英国高等裁判所は10日(英国時間)、ガイダンスは差別的で違法であるとして、NICEに改訂を求める判決を出した。
エーザイ英国子会社は07年1月、共同販促を行うファイザーの協力を得て司法審査請求をしていた。NICEが06年11月に発行した「アルツハイマー型認知症治療ガイダンス」の作成プロセスで、医療経済効果の検証に用いた費用対効果算出モデルの開示を拒否したり、介護者の費用などのデータが不十分だったりして、不公正性、不合理性、差別性を含むものだと主張していた。
それに対し英国高裁は、アルツハイマー病の進行度診断指標としてMMSEスコアのみを使用し、言語能力・学習能力に問題がある場合などは進行度が正しく判定されず、一部患者を差別することになるという差別性を認めた。
エーザイは、判決では不公正性、不合理性についての主張が認められなかったとして、「控訴を含めた今後の対応を検討中」だとしてる。