バイオ後続品事業を加速‐G‐CSFペグ化製剤で海外へ
北海道大学発ベンチャーのジーンテクノサイエンスは、バイオ後続品事業を加速させる。富士製薬、持田製薬が昨年発売したG‐CSF製剤「フィルグラスチム」のロイヤリティ収入を下支えに、G‐CSF製剤の投与回数を減らしたペグ化製剤、三和化学研究所に導出したエリスロポエチン製剤「ダルベポエチンアルファ」、抗TNFα抗体「アダリムマブ」などの開発を進め、海外への導出も狙う。河南雅成社長は、「2012年のマザーズ上場後、この2年間でパイプラインを増やす仕込みをしてきた。製薬企業へのアライアンスを確実に実現していきたい」と意気込みを語る。
同社は、コスト・スピード感を重視した創薬を目指し、自社で研究開発のプラットフォームを持たずに、開発品目のテーマに応じて、製薬企業や研究機関、CROなどの外部資源を柔軟に活用したネットワーク型の研究開発が特徴。河南氏は、「ベンチャー企業がバイオ新薬開発を手がけるのは、リスクが大きい」として、早期収益化を実現するために、バイオ後続品事業を優先的に進めてきた。ようやく昨年、フィルグラスチムで初上市を達成した。
昨年度売上高は、前年度比約5倍の3億円と滑り出しは好調だ。導出先の持田製薬、富士製薬がG‐CSF製剤「フィルグラスチム」のバイオ後続品販売シェアで先頭を走っているためで、ジーンテクノの業績に大きく貢献している。
今年度の営業利益は、複数の開発品目で臨床試験入りを目指すことから、約9億7000万円の赤字を計画。最優先事業として、G‐CSFペグ化製剤を挙げた。G‐CSFとペグ化製剤を併せた世界市場規模は約5000億円と大きく、海外への拡大戦略を打ち出す。
フィルグラスチムでの原薬製法プロセスや非臨床データが、ペグ化製剤の早期臨床入りを目指す上で有利に働くと見る。バイオ後続品の海外展開に向けては、「グローバル製造体制を持った製薬企業との提携が重要」(河南氏)として、海外ネットワークを使って導出交渉を行っている。
二本目の矢は、韓国の東亞ST社から開発ライセンスを受けたダルベポエチンアルファ。透析領域を強化する三和化学と共同開発をスタートさせ、今後の道筋を付けたのは一つの成果ともいえる。抗体医薬のアダリムマブや抗癌剤「ベバシズマブ」も細胞株構築段階にあり、今後開発パートナーを探す予定だ。
バイオ新薬の種まきも始めており、核酸医薬品の開発に乗り出している。ジーンデザイン社との共同事業契約を結び、ジーンテクノの配列設計ノウハウと、ジーンデザインの核酸医薬品製造技術を融合し、開発プラットフォーム構築を目指す。河南氏は、「ドラッグデリバリーを改善できれば、抗体医薬から核酸医薬に変わる可能性がある」と述べ、核酸医薬品と抗体をリンカーで結合させたコンジュゲート抗体を一つの方向性に挙げた。将来的には、バイオ新薬とバイオ後続品のハイブリット事業が大きな目標だ。
ジーンテクノサイエンス
http://www.g-gts.com/
この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2014年10月10日号に掲載された記事です。
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