人事院は8日、今年度の国家公務員給与である月例給(基本給)を、初任給を中心に若年層に限定して引き上げ、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.05カ月分引き上げるよう国会と政府に勧告した。引き上げ勧告は、2001年度以来6年ぶりとなる。勧告通りに実施されれば、行政職(一)の月例給は平均で38万4893円(40.7歳)、年収は4万2000円増の平均639万8000円になる。
人事院では、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させる「民間準拠」を基本として勧告を実施している。人事院が官民給与を比較した結果、公務員給与(行政職)は民間給与に比べ、1人当たり1352円(0.35%)下回り、ボーナスも公務員の4.45カ月に対し民間は4.51カ月と、民間が上回っていた。
これらを踏まえ、月例給に関しては民間給与との較差を埋める形で均衡を図ることが適当と判断し、引き上げを勧告した。月例給の改定では、民間との間に相当の差が生じている初任給を中心とした若年層での改定を行い、中高齢層は据え置きとした。ボーナスに関しては、昨年冬と今夏の1年間の民間のボーナスの支給割合に見合うよう、0.05カ月の引き上げとした。
国立高度専門医療センター(ナショナルセンター)等に勤務する薬剤師の場合は、栄養士などと共に医療職俸給表(二)が適用される。今年の国家公務員給与等実態調査では、適用職員数は薬剤師を含め972人で、前年より15人増加した。平均年齢は42.4歳、平均経験件数は19.1年で、男女比は男性が67.9%だった。
薬剤師の初任給は医療職俸給表(二)の2級1号俸で17万8200円。昨年度の17万6100円より引き上げられた。これに対し今年の民間給与実態調査では、薬剤師の初任給は企業規模100人以上500人未満で21万7396円、500人以上で20万6381円で、依然として大きな開きがある。
このほか今回の勧告で、給与構造改革として08年度に実施する事項も盛り込んだ。具体的には、「専門スタッフ職俸給表の新設」と「地域手当の支給割合の改定等」を挙げている。
専門スタッフ職俸給表の新設は、行政の多様化、複雑・高度化に対応するため、公務員が培ってきた高度の専門的な知識や経験を活用すると共に、早期退職慣行を是正し、在職期間の長期化に対応する人事管理の複線型を図るための環境整備の一環。