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世界大手製薬企業07年上半期決算”バイオ製剤とワクチン事業が好調

2007年08月10日 (金)

 売り上げランク上位の海外大手製薬企業の上半期決算が出揃った。主力品の高脂血症治療薬の落ち込みなどがあったファイザーが大幅減益。一方、ノバルティスは医療用薬以外の事業も躍進、ロシュは主力品が好調で、共に二桁増収増益となった。各社のワクチン事業はいずれも好調に推移した。

■主力品落ち込み売上げ伸ばせず”ファイザー

 米ファイザーの2007年上半期決算は、主力品の落ち込みや特許切れに伴うジェネリック(GE)薬登場などの影響で売上高は235億5800万ドルで0・4%増のほぼ横ばい、純利益は46億5900万ドルと29%もの減少となった。

 医療用薬の売上高は1・6%減の216億8600万ドル。この中で半期で60億ドル以上を売り上げる主力品の高脂血症治療薬「リピトール」が、保険支払い機関の医療費抑制圧力や在庫調整などの影響を受け2%減。第2四半期だけで13%減少しており、25%減となった米国市場の落ち込みが影響した。通期でも横ばいから5%程度減少する見込みという。

 また、米国で特許切れとなった降圧剤「ノルバスク」は27%減、昨年特許切れとなったSSRI「ゾロフト」は82%減となった。

■「アバンディア」製品群が伸びず”GSK

 英グラクソ・スミスクラインの2007年上半期決算は、糖尿病治療剤「アバンディア」製品群の売り上げ減が影響し、売上高が3・1%減の112億6600万ポンド、税引き前純利益が0・7%減の40億3900万ポンドとなった。

 医療用医薬品部門は4・8%減の95億8100万ポンド。「セレタイド/アドベア」が11%増となったものの、アバンディアは、副作用に関する分析結果が学術情報誌「ニューイングランドジャーナルオブメディスン」(NEJM)に掲載されたことが影響し、売り上げは4%減となったことなどが影響した。

 一方で、ワクチン部門では肝炎ワクチンなどが貢献して6%増の7億6600万ポンド。コンシューマヘルスケア部門は、米国で抗肥満剤を発売したことが貢献して8・2%増の16億8500万ポンドとなった。

■GE薬の影響で売上高は横ばい”サノフィ・アベンティス

 仏サノフィ・アベンティスの2007年上半期決算は、静脈血栓症治療剤「レベノックス」などの主力品の売り上げは増加したものの、ジェネリック(GE)薬の影響で、売上高が横ばいの141億1600万ユーロであった。

 医療用医薬品部門では、GE薬の影響を受けて抗癌剤「エロキサチン」が6・8%減、2型糖尿病治療薬「アマリール」が14・0%減となったものの、主力品のレベノックスが11・8%増、抗血小板剤「プラビックス」が5・7%増となり、GE薬の影響を吸収した。

 一方で、ワクチン部門の売り上げは、インフルエンザワクチンの減収分を他のワクチン製品で吸収し、15・4%増の11億8600万ユーロとなった。

 調整後純利益(少数株主持ち分控除後)は4・3%減の37億9500万ユーロであった。

■ワクチン、GE寄与し増収増益”ノバルティス

 スイス・ノバルティスの2007年上半期決算は、主力新薬の伸びに、ワクチン、ジェネリック(GE)の伸びも寄与して、二桁の増収増益となった。

 売上高は14%増の199億4100万ドル。主力品の降圧薬「ディオバン」が19%増、慢性骨髄性白血病などに用いる抗癌剤「グリベック」14%増、乳癌治療薬「フェマーラ」30%増だった。下期には、配合降圧剤、新規作用降圧剤、加齢黄斑変性症治療薬などの新薬が業績に寄与しそうだ。

 ワクチン・診断薬関連事業の売上高は4億8200万ドル。前年同期には、昨年4月に買収したカイロンの2カ月分のみの売り上げが含まれており、それを比較できるように換算し直して比較すると、45%増となる。

 GE事業のサンドは、米国での新製品の上市などが牽引し、19%増の34億1500万ドルとなった。

 純利益は21%の46億6900万ドル。

■主力の癌領域が牽引、増収増益”ロシュ

 スイス・ロシュの2007年上半期決算は、主力の癌領域製品が牽引して、売上高は15%増の228億2700万スイスフラン(CHF)、純利益は29%増の58億6200万CHFとなった。

 医療用薬売上高は182億6800万CHFで、17%増。グループのジェネンテックが24%の伸びを示し、業績に貢献した。

 牽引した癌領域の売り上げの伸びは22%。売り上げ上位にある製品では、マブセラ(日本名「リツキサン」)は16%増、「ハーセプチン」は30%増、「アバスチン」は40%増と、それぞれ非常に高い伸びを記録。抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」も39%の伸びを示し、増収に寄与した。

■主力5製品が伸ばし増収に”アストラゼネカ

 英アストラゼネカの2007年上半期決算は、主力品の伸びにより売上高は11%増の142億3900万ドルとなった。

 増収に寄与した主力5製品は、PPI「ネキシウム」4%増、統合失調症治療薬「セロクエル」12%増、高脂血症治療薬「クレストール」47%増、抗癌剤「アリミデックス」12%増、配合喘息治療薬「シンビコート」22%増という状況だった。

 税引き前利益は、買収したメドイミューンの営業損失、事業再構築費用の計上で、前年同期とほぼ横ばいの42億5800万ドルとなった。

■医療用薬が伸長売上げ二桁増に”J&J

 米ジョンソン・エンド・ジョンソンの2007年上半期決算は、伸び悩んでいた医療用薬が伸びたほか、コンシューマ事業では買収したファイザーの同事業が加わったことで、売上高は14・5%の301億6800万ドル。

 一方、販売費、研究開発費の増で純利益は7・7%減の56億5400万ドルとなった。

 医療用薬事業の売上高は8・2%増の123億7000万ドル。医療機器・診断薬事業は5・6%増の107億3800万ドル、コンシューマー事業は48・5%増の70億6000万ドル。

 医療用薬部門では、エーザイと共同販売しているPPI「アシフェックス」(日本名「パリエット」)が9%増、「リスパダール」など抗精神病薬群13%増、注意欠陥多動性障害治療薬「コンサータ」12%増、抗菌剤「レバキン」12%増、関節リウマチ薬「レミケード」10%増、偏頭痛予防剤「トパマックス」23%増と業績に寄与した。

■主力品の米での特許切れ補い増収”メルク

 米メルクの2007年上半期決算は、主力品の米国内外の特許切れの影響をアレルギー治療剤「シングレア」や、AII受容体拮抗型降圧剤「コザール」、チアジド系利尿剤との合剤である「ハイザール」などで吸収し、売上高が6%増の118億8070万ドルとなった。また、売り上げ増が貢献し、当期純利益は12%増の33億8070万ドルであった。

 主力品の一つである高脂血症治療剤「ゾコール」の売り上げが79%減、骨粗鬆症治療薬「フォサマック」が3%減と、ジェネリック薬の登場による影響があったが、アレルギー治療剤「シングレア」が20%増、「コザール/ハイザール」が11%増でカバーし、増収に寄与した。

 また、ワクチン事業の売り上げは、子宮頸癌ワクチン「ガーダシル」、小児ロタウイルス予防ワクチン「ロタテック」、帯状疱疹予防ワクチン「ゾスタバックス」などが好調に推移したため、約3倍の約19億ドルとなった。

■「プレベナー」など伸び売上げ10%増”ワイス

 米ワイスの2007年上半期決算は、肺炎球菌ワクチン「プレベナー」などの売り上げが貢献し、売上高が10%増の110億1673万ドル、純利益が12・2%増の24億5262万ドルとなった。

 医薬品部門の売上高は11%増の92億2800万ドル。主力の抗うつ剤「エフェクサー」が横ばいだったが、PPIの「プロトニクス」が11%増、関節リウマチなど慢性炎症疾患の治療剤「エンブレル」が35%増。さらに、ワクチン事業の売り上げの大半を占めるプレベナーが32%増の12億4900万ドルと、増収に寄与した。

 コンシューマヘルスケア部門は、主力の鎮痛剤「アドビル」などの売り上げが増加し7%増の12億3500万ドルとなった。

■「ジプレキサ」が牽引し売上げ増”イーライリリー

 米イーライリリーの2007年上半期決算は、主力品の抗精神病剤「ジプレキサ」などが貢献し、売上高が17%増の88億5700万ドルとなった。

 製品群別の売り上げは、ジプレキサが9%増、大うつ病・糖尿病性末梢神経障害疼痛治療剤「シンバルタ」が77%増、抗悪性腫瘍剤「ジェムザール」が13%増。

 しかし、企業買収などに関連して研究開発費が増えたことなどが影響して純利益は29%減の11億7200万ドルであった。



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