厚生労働省「予防接種に関する検討会」は、2012年までに麻疹(はしか)を排除することを目標とした麻疹排除計画を概ねまとめた。10代及び20代における全国的な流行を受けたのもので、排除計画では、ワクチン接種をしていない層が一定数存在する10代、20代を中心に、ワクチン2回接種を実施していく。また、発生状況を正確に把握するため、定点から全数報告の体制を敷く。来年度からの実施を予定している。
12年までの麻しん排除は、WHO西アジア地域の目標に基づくもので、今回まとまった排除計画は、[1]95%の予防接種率の達成・維持[2]評価体制の確立[3]麻疹発生時の迅速な対応[4]実施体制の確立””の四つの施策が柱となっている。
接種率達成では、麻疹ワクチンを1回しか接種していない世代(主に8029歳)に向けた補足的接種として、12年までに2回目接種を受ける機会を設定することを決めた。検討会では接種間隔について、3年、5年、7年とする三つの案が出されたが、ワクチン確保や予算、排除目標を考慮し、13歳と18歳の2回とする方向となった。
また、予防接種実施主体である市町村に対しては、▽予防接種対象者への個別通知▽1歳6カ月健診、就学時健診での未接種児の把握と接種勧奨▽接種対象機関の中間時でのワクチン接種の有無の把握と未接種者への接種勧奨””などの対策を求めている。さらに、予防接種率向上のため文部科学省に協力依頼すると共に、中学生以上の対象者に対する保護者同伴要件の緩和、日本医師会や日本小児科医会等への協力も求めていく。
一方、評価体制確立の面からの取り組みとして、感染症法施行規則を改正し、麻疹・風疹の発生状況をより正確に把握するため、現行の定点報告から全数報告に変更する。また、麻疹を診断した医師は24時間以内を目標に報告すること、臨床診断例についてはできるだけ検査診断し、その結果を保健所に報告することとした。