厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」は、ワーキンググループ(WG)から提出された国内未承認薬、スティリペントール(効能・効果=乳児重症ミオクロニーてんかんの難治性全身強直間代発作:クロバザムおよびバルプロ酸との併用)の検討結果報告書を了承した。これを受けて厚労省は関係企業に対し、早期に承認申請や治験を開始するよう要請する。
スティリペントールは欧州医薬品庁(EMEA)が2001年5月に乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)の希少疾病医薬品に指定し、今年1月に承認している。クロバザムとバルプロ酸の併用下によるプラセボ対照実験の2カ月投与の結果、スティリペントール投与群で有効率が有意に高かった。有害事象として、眠気などの中枢神経症状や食欲減少、体重減少、吐き気・嘔吐などの消化器症状が比較的多いが、併用薬投与量の調節等で改善するとされる。
SMEIは小児てんかんの中でも極めて難治で、発達遅滞や知的障害、失調、錐体外路症状が出現する症例も多く、死亡率は16018%に上る。
WG報告書では、同剤はクロバザムとバルプロ酸の併用下で、間代性強直性痙攣の減少が主にみられるとするEMEAの評価を示し、3剤併用による有効性がある程度認められているものとした。また、重篤な疾病であり他に有効な薬剤がないことから、EUの承認後に実施中のランダム化二重盲検比較試験、生物学的同等性試験、ポピュレーション薬物動態試験などの結果に留意しつつ、国内における治験を早期に開始すべきとした。
このほか、学会、患者団体から追加で検討要望があった未承認薬の中から、[1]ルフィナミド(効能・効果等=てんかん、EUで承認)[2]経口リン酸製剤(原発性低リン血症性クル病、米国)[3]オキシコドン注射剤(癌性疼痛、米国)[4]メサドン(癌性疼痛、米国)‐‐と、406月に欧米4カ国のいずれかで新規承認された医薬品のうち、エクリズマブ(発作性夜間血色素尿症、米国)を加えた5品目について、早期申請を促すべきかWGで検討することとした。経口リン酸製剤については開発企業が未定のため、厚生労働省ホームページ上等で募集する。
追加検討要望があったうち、てんかん薬のビガバトリンについては、開発を中止したサノフィ・アベンティスより、投与された患者の約3分の1に視野狭窄の副作用があったため、リスク・ベネフィットの再検討の結果、開発は再開しないとの回答が示された。欧州では承認されているが、使用は非常に限定されている。米国ではアベンティスが副作用報告を受けて開発を断念後、権利譲渡を受けたオベーションが申請中であるため、引き続き状況を見守ることとなった。