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厚生労働省「病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する検討会」は第3回会合で、報告書案を検討し大筋合意した。報告書では、現行の人員配置基準をすぐに見直す考えは打ち出されなかったものの、病院薬剤師業務の重要性が再確認され、各病院が薬剤関連業務を行うのに十分な薬剤師数を確保することが重要との方向性が提示された。
検討会では、病院薬剤師の業務実態に関する詳細なデータがなかったことから、業務実態や配置状況について実態調査を行うと共に、その結果に基づいてあるべき業務と役割を整理し、薬剤師配置のあり方を検討してきた。
実態調査では、服薬指導と薬学的ケア、医療チームへの参画による安全確保と質向上など、病院薬剤師が幅広い業務に取り組み、医療の向上に大きな役割を果たしていることが明らかになった。
それを踏まえ、報告書は「病院の規模や機能に応じて、個々の病院で必要な医薬品関連の業務が実施されるのに十分な薬剤師数を確保していくことが重要」とし、薬剤師の確保が不可欠であることをアピールした。
しかし、人員配置を具体的に検討した結果では、「人員配置標準をただちに見直す必要性までは認められない」と結論した。その理由として、[1]現行の人員配置基準を満たしている病院は多いが、地域により充足率に格差がある[2]勤務薬剤師数が不足しているとの認識は多いが、(診療報酬などの問題もあり)採用には困難が伴う[3]業務内容は多様化・複雑化しており、病院の規模や機能により求められる業務が異なる[4]薬学教育6年制がスタートしたばかりであり、今後の薬剤師の需給動向を見定めるべき――などが指摘されている。
また、薬剤師業務の実施状況、6年制の動向、医薬品関連技術やIT化の推進などに応じて、「必要な時期に改めて、あるべき業務と人員配置のあり方について検討すべきである」と将来の再検討を示唆すると共に、「患者の医療安全と薬物療法の質向上が期待される病院薬剤師業務について、診療報酬上の適正な評価がなされるべきとの指摘もあった」ことを盛り込んだ。
さらに病院薬剤師に対しても、チーム医療への参画や病棟業務を通じて患者からも業務が理解され、「顔の見える薬剤師」と呼ばれるために努力するよう注文をつけた。