バイエル薬品は、日本初の塗る更年期障害治療剤「ル・エストロジェル」(一般名:17β‐エストラジオール)を9日から発売する。薬価基準には収載せず、保険適用のない自由診療扱いで、診療費とは別に1カ月当たり1万円程度かかる。バイエルは、専門MR60人で開業医向けに情報提供活動を進めていく。
同剤は、皮膚刺激が少ないゲル剤で、肝臓の初回通過効果を受けないというメリットがある。1日1回両腕部に塗擦する。
臨床試験では、プラセボ群に比べ、投与後4週間目から、更年期障害の症状であるホットフラッシュの発生を有意に抑制する成績が得られたほか、皮膚萎縮に対する改善効果もみられた。副作用としては、膣分泌物、乳房不快感、性器出血、骨盤痛などがみられている。
同剤は、一定量のジェルを取り出しやすいプッシュ式ボトルを採用し、2押しで1日分のジェルを取り出すことができるようにした。30g(14日分)と80g(42日分)の2タイプが販売される。
同社は、ホルモン補充療法を知らない医師がいることから、学会や患者会の支援活動などを通じて、医師に情報を提供していく予定だ。また、患者のホルモン補充療法に対する認知度が低いことから、ウェブサイトを活用し、「婦人科に受診すればホルモン療法が受けられる」ことを啓発する。
同社では、日本のホルモン補充療法市場が小規模でホルモン剤の薬価が低いことのほか、年をとっても元気に過ごしたいというクオリティ・エイジング(QA)の向上のために、40060代の女性が自発的に同剤を選択すると考え、自由診療扱いにすることにしたという。海外では、30年以上の使用実績があり、現在までに101の国・地域で承認販売されている。
バイエル薬品のジャン‐リュック・ロビンスキー社長は7月31日に都内で開いた製品発表会で、海外と同様に「(ウイメンズヘルスケア分野を)成長領域と位置づけて力を入れていく」と意気込みを語った。