医薬品産業の市場調査などを手がけるユート・ブレーンは、「世界の大型医薬品売り上げランキング2006年版」をまとめた。1位06位までの顔ぶれは05年と同様だったものの、抗体医薬などのバイオ製剤の多くが二桁成長で躍進。ロシュなどが販売する非ホジキンリンパ腫の治療薬「リツキサン」(一般名:リツキシマブ)など3品目が売り上げを伸ばし、709位を占めた。一方、スタチン製剤市場は06年の大型製品の米国での特許切れにより6%減となり、初のマイナスを記録した。
ランキングは、決算期末時点で20億ドル以上の売上高を持つ製品についてまとめたもの。創製したメーカーに入るロイヤルティやバルク売り上げも加えて集計している。
その中で伸長したバイオ製剤は、7位(05年10位)が47億8100万ドル(24%増)を売り上げた「リツキサン」、8位(同14位)は44億7500万ドル(21%増)でアムジェンなどの関節リウマチ治療薬「エンブレル」(エタネルセプト)、9位(同15位)には44億2500万ドル(23%増)でジョンソン&ジョンソンなどの関節リウマチ治療薬「レミケード」(インフルキシマブ)と続いた。
1位06位は若干の順位の入れ替えはあったものの顔ぶれは同じ。トップは05年同様でファイザーの高脂血症治療薬「リピトール」(アトルバスタチン)で、6%増の136億8200万ドル。100億ドル超は同剤のみ。以下、グラクソ・スミスクラインの配合喘息治療薬「セレタイド」(サルメテロール/フルチカゾン)、サノフィ・アベンティスの抗血小板薬「プラビックス」(クロピドグレル)、アムジェンの慢性貧血治療薬「エポジェン」(エポエチンα)、ファイザーの降圧剤「ノルバスク」(ベシル酸アムロジピン)、アストラゼネカのPPI製剤「ネクシアム」(エソメプラゾール)。
同社は、「一般的な慢性疾患薬の多くがパテント(特許)切れの影響で順位を落とす一方、バイオ製剤が売り上げを伸ばしており、売れる医薬品が変化しつつある」と分析している。また、20億ドル以上の製品が05年より11品目増えて47品目となり、大型品への集中化がなおも進んでいることから「特許切れ後のジェネリック登場後のリスクが以前よりも高くなっている」と指摘している。