日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、在宅療養支援診療所実態調査の結果を公表した。調査は福岡県下の診療所を対象に実施したもので、在宅療養支援診療所の届出を出した理由としては、取り組んでいた実態に沿ってとするものが最も多く、「診療報酬上のメリットが大きい」との回答は少数にとどまった。
調査は、在宅療養支援診療所が、[1]実態としてどの程度機能しているか[2]届出を阻害している要因があるとすれば何か””を確認する目的で、回答のあった福岡県下の診療所266施設(在宅療養支援診療所156、それ以外110)の分析を行った。
その結果によると、届出を出した理由は、「当院の実態そのもの(かねてからその役割りを果たしてきた)」が54.5%で最も多く、次いで「これから在宅療養に力を入れるべきと考えた」が47.4%だった。「診療報酬点数上のメリットが大きい」は23.1%にとどまった。
一方、在宅療養支援診療所以外の診療所で、届出をしていない理由は、「24時間往診が可能な体制を確保できない」が69.4%でトップ、「24時間連絡を受ける医師または看護師を配置できない」63.9%で続き、「24時間体制」が高いハードルとなっている現状が明らかになった。
また、24時間体制を支えるには医療機関などとの連携が重要だが、連携が困難な理由については、「訪問看護ステーションの担当者をよく知らないので頼みにくい」20.4%、「医療機関の担当者をよく知らないので頼みにくい」18.5%、「ケアマネージャーをよく知らないので頼みにくい」13.9%と、面識のなさが阻害要因になっていることが浮かび上がる結果だった。
在宅療養支援診療所のうち、終末期医療を行っているのは53.8%で、行っていない診療所が44.2%に上った。ただ、条件が整えば終末期医療を行いたいとの回答を含めると82.0%に上り、終末期医療に前向きな姿勢がみられている。
また、実際に「看取り」を行っているかどうかを、死亡診断書の発行状況でみたところ、発行しているのは在宅療養支援診療所で16.0%、それ以外では3.7%で、在宅療養支援診療所の方が「看取り」を行っているケースが多い現状となっている。