日本医療機能評価機構は、2006年の医療事故情報収集等事業年報を公表した。医療事故件数は1296件で、薬剤に関するものが77件と全体の5.9%を占めた。ヒヤリハットでは「処方・予約」が4万6433件と全体の23.7%に上った。医療事故・ヒヤリハット共、薬剤に関しては投与量や種類の間違いが多かった。
医療事故事例収集で、報告義務対象の医療機関は昨年末現在で273施設、任意参加の医療機関は300施設となっている。
医療事故の内訳は1296件中、[1]治療処置450件(34.7%)[2]療養上の世話339(26.7%)[3]医療用具等115(8.9%)[4]薬剤77(5.9%)[5]検査72(5.6%)””の順となった。
「薬剤に関する項目」を発生場面別に分けると、「静脈注射」と「末梢静脈注射」が各19件、「内服」16件の順に多い。事故の内容では、「過剰与薬」が25件と突出している。
ヒヤリハット事例は、参加医療機関1276施設から19万5609件の報告があった。四半期当たり405万件発生していることになる。そのうち、「処方・与薬」に関する事例が4万6433件(23.7%)、「ドレーン・チューブ類の管理」が3万0256件(15.5%)と多く、例年と同様の傾向だった。
発生時間帯別では10011時台が2万4255件、9010時台が2万2185件と、昼前の時間帯で比較的多く発生している。発生要因としては、「確認が不十分であった」25.3%、「観察が不十分であった」「心理的状況(慌てていた・思いこみ等)」がそれぞれ13・2%と続いている。
06年の個別テーマの検討によれば、薬剤に関連した医療事故の現状として、計76件のうち「薬剤量間違い」が33件、「薬剤間違い」が12件。関連した薬剤の種類では、抗腫瘍剤が10件、循環器用薬が8件と比較的多かった。
薬剤に関連したヒヤリ・ハット事例では、2330件のうち「薬剤取り違え」が784件、「薬剤量間違い」のうち「計量・計数」が442件の順に多い。また、「指示」「指示受け・申し送り」「準備」「実施」「実施後の観察及び管理」の段階別に分けると、966件のうち「準備」417件、「実施」283件の2区分に集中していた。
ヒヤリハット事例の当事者の職種は、06年の計21万6063件の中で、看護師が16万0897件、医師8497件に次いで薬剤師が5778件となった。