第一三共は米アムジェンから、骨粗鬆症や癌の骨転移に対する治療薬として開発されている抗体医薬「デノスマブ」の日本での独占的な開発権、販売権を取得した。第一三共は骨・関節領域や癌領域を重点領域としており、今回の導入は両領域の強化が狙い。
デノスマブは、骨の分解に関わる破骨細胞の形成、活性化に関わる「RANKL:Receptor activator of NF-κB ligand」を標的とした完全ヒト型モノクローナル抗体製剤。破骨細胞の形成では、骨芽細胞が発現するRANKLと破骨細胞の前駆細胞が発現するRANKとの相互作用が重要で、RANKLを阻害することで骨芽細胞の形成を抑制する。海外では関節リウマチの治療薬としてPIII段階にあり、日本では、乳癌の骨転移に対する適応でPIII、閉経後骨粗鬆症の適応でPIIが実施されている。今後は第一三共が引き継ぐ予定。
第一三共は、契約一時金2000万ドルのほか、開発段階に応じたマイルストーン、売り上げに応じたロイヤリティを支払う。また、米アムジェンが実施している海外開発費用のうち1億5000万ドルを負担するという。
一方、日本、欧州で骨粗鬆症、癌領域の適応でデノスマブが承認された場合、第一三共は、同社が持つRANKリガンドの特許の使用料を受け取る。
デノスマブはアムジェンの重点開発品目だが、今回導出となったのは、米アムジェンが、エリスロポエチン製剤の売り上げ減で経営環境が悪化したためという。それで以前から同薬の骨粗鬆症の適応の導出について話し合っていた第一三共に日本の開発を委ねることにした。