スイスのノバルティスが開発したアルツハイマー型認知症に対する世界初のパッチ剤「エクセロンパッチ」(一般名:リバスチグミン)が、米FDAで承認された。軽度から中等度の患者が対象で、24時間にわたり薬効が持続する。貼り薬のため介護する側にとっては、一目で薬剤が投与されていることを確認できるというメリットもある。日本では小野薬品と共同開発しており、今年1月にPIIIを開始したところ。
エクセロンには現在、カプセル剤(日本未承認)があるが、今回承認されたのはパッチに剤形を改めた経皮吸収型薬剤。コンプライアンスの改善が狙い。臨床試験では、投与のしやすさ、日常生活への支障の少なさなどから、介護者の7割がカプセル剤より使いやすいと評価したという。
また、薬剤の特性上、血中濃度を一定に保つほか、経口剤でみられた副作用の吐き気などの消化器症状も1/3程度に抑えられることが確認されている。
承認は、1195人を対象にした国際臨床試験「IDEAL」に基づいて行われ、カプセル剤の最高用量(6mg、1日2回)と同様の効果が確認されている。現在、日本ではPIII、欧州では昨年に承認申請した。
同剤は、脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を防ぎ、アセチルコリン量の低下を抑え、効果を発揮するとされている。分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼに加え、ブチリルコリンエステラーゼも阻害する唯一の薬剤で、この作用により同社は、記憶力と思考力の両方の維持、行動障害の改善、日常生活の各場面における対応力の改善の可能性があるとしている。