日本医療機能評価機構の医療事故防止センターは、今年103月までに報告された医療事故情報収集事業の報告書をまとめた。報告義務のある医療機関から報告された医療事故は271件で、うち死亡事故は32件(11.8%)だった。
事故の内容をみると、療養上の世話が最も多く、88件(32.5%)を示した。また、薬剤に関わるものが15件(5.5%)、医療用具等が23件(8.5%)、検査が12件(4.4%)だった。
このうち、薬剤に関連した医療事故では、▽指示段階における事例が3件(うち薬剤名の類似による薬剤間違い2件)▽準備段階における事例が6件(うち薬剤のアンプルや注射器の間違えて注射薬を準備した事例が4例)▽実施段階における事例が5件(うち注射薬品の取り違え、水薬の管理に関する事例、内服薬の薬剤過剰投与、注射薬の薬剤過剰投与、注射薬の濃度間違いがそれぞれ1件)▽実施後の観察及び管理が1件(ガベキサートメシル三塩を持続点滴管理中の点滴液漏出)””などがみられている。
報告書ではまた、医療機関の事故防止のため、特に周知する必要性の高いものとしてFAX等で医療機関に送付している「医療安全情報」の取り組みを紹介。
今年に入ってからは、▽メトトレキサートの過剰投与によって骨髄抑制を来した事例▽グリセリン浣腸の実施で直腸穿孔を招いた事例▽「アルマール」と「アマリール」などの薬剤取り違え‐‐について全国の医療機関に送付している。5月からは希望する医療機関に送付することになり、送付軒数が3332軒に達している。