キャリア設計支援を推進‐紹介先からも高い評価
「頑張っている薬剤師が報われる時代になってきた」。キャリア・ポジション代表取締役の西鶴智香氏はそう話す。ここ数年、薬剤師の売り手市場が続いてきたが、最近は大手チェーン薬局を中心に薬剤師は充足しつつある。薬剤師不足は今後も緩和される見通しで、薬剤師が就職先から選別される傾向は強まるという。同社は以前から、薬剤師のキャリア設計を支援してきた。そのニーズはさらに高まるとして、支援を推進する考えだ。
求人側・求職側とも意識変化
同社は今年で創業10年目を迎えた。リクルートを退社後、人材派遣会社を経て独立し、薬局やドラッグストアの人事・採用アドバイザーとして活動していた西鶴氏が2004年に立ち上げた。大阪と名古屋に拠点を置き、薬剤師の人材紹介を手がけている。
求人側の動向として西鶴氏は、大手チェーン薬局を中心に「薬剤師は今年、充足する」と語る。新規出店ペースは落ち着く一方、今春に新卒薬剤師を大量に確保できる見通しが立ったため、中途採用は減少する。準大手のチェーン薬局でも採用力の高い会社では「薬剤師は充足している」のが現状だ。
依然として薬剤師不足に悩む薬局は多く、地方に行くほどその傾向は顕著だが、全体を俯瞰すれば需要側に大きく傾いていた薬剤師の需給バランスは次第に変化し、平坦に近づいていく。薬学的な専門知識や技術、コミュニケーションスキル、マネジメント能力、経営感覚、向上心などを評価し、薬剤師を選別して採用する傾向はますます強まるという。
一方、求職側の薬剤師は、将来への危機感を強めている。給料の金額よりも、薬局のM&Aが活発になる中、勤める会社はこれからどうなるのかと危惧したり、算定要件が厳しくなる調剤報酬の行方に不安を抱いたり、組織的な取り組みを実行できずキャリアアップを果たせない労働環境を懸念したりする薬剤師が少なくないようだ。
求人、求職側のこうした傾向の変化を西鶴氏は歓迎する。同社には西鶴氏を含め2人の「米国CCE認定GCDF-japanキャリアカウンセラー」が存在。薬剤師に面談してじっくり話を聞き、個々の価値観を尊重しながら将来のキャリア設計の構築を支援し、それに応じた職場を紹介している。
きめ細かいこの手法が「求人側から評価されている」と西鶴氏。「しっかりとした薬剤師を紹介できている。優秀な薬剤師を待っていると求人側から声がかかる。これまでやってきたことが成果として出てきた。当社にとってやりやすい時代になった。就職先を紹介した薬剤師から、友人や知り合いを紹介してもらうことも多い」と言う。
薬剤師に向けて「自身のキャリアのことを相談したいと考える人に来てほしい。薬局側も、将来のキャリアを真剣に考えている薬剤師を採用したいと思っている」と話す。
西鶴氏は、ドラッグストアや薬局の社員研修を委託されるほか、人材採用や経営戦略の相談に乗ることも多い。その延長線上でM&Aの仲立ちをすることもある。薬系大学では薬学生を対象にした就職ガイダンス、キャリア開発講座を担当するなど、その活動範囲は年々広がっている。
キャリア・ポジション
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