日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会は、ジェネリック(GE)薬の使用促進策として、2006年度に実施された「処方せん様式変更による影響」の調査結果をまとめた。それによると、処方せん様式変更に対する医師の対応はまちまち。その一方、薬局では情報提供に苦慮している状況が見られている。
調査は、06年12月から今年1月まで、院外処方を行っている診療所31施設と、「後発医薬品への変更可」の署名処方せんを受け入れている保険薬局28施設を対象に、医師・薬剤師への聞き取りにより行われた。
調査によると、医師にGE処方を希望する患者の状況を聞いた結果では、21人が増えたと回答。その背景としてテレビCMの影響を挙げる者が多かった。
患者のGE薬処方希望に対しては、銘柄処方を行う医師が14人、「後発医薬品への変更可」に署名・押印する医師が12人と対応が分かれた。
銘柄処方をする理由としては、▽薬局で備蓄がある▽一般名処方や変更可にすると、どのような薬剤が調剤されるか不安▽医師の使用経験があり安心できる薬剤を処方したい””といった意見がみられた。中には「変更可と署名する以上、医師も処方に責任を持たねばならない。しかし、そこまでの信頼を後発品における状況ではないので、変更可とすることは危険であると認識している」との意見もあった。
「変更可」にする理由としては、▽患者がどこの薬局へ行くか分からない▽薬剤師とよく相談して決めるよう言っている▽患者の負担軽減を考えて▽後発品を含む場合の処方せん料が算定できるため””などが挙がった。
「変更可」とされた処方せんを薬局が受け付けた場合の対応では、「患者の希望がない場合は説明しない」が12施設、「全ての患者に説明」が11施設、「状況に応じて説明」が5施設であった。
GE薬の説明をする際に困る点や、情報提供をしないとした理由については(複数回答)、「説明に時間がかかる」が13施設、「患者負担」が10施設、「GE薬の理解が得られにくい」が5施設。
具体例としては、「GE薬の説明にも時間がかかるが、どの薬剤を選択するのかも時間がかかる」「負担が半分以下になるなど薬剤の費用だけが前面に出ているが、実際には調剤料といった説明などが必要」「効果が先発と同等であるとの説明が難しい。患者の知識が偏っている」などが挙がった。
薬局でGE薬に関する情報提供を行った場合、患者がGE薬の調剤を希望している場合としていない場合とでは、説明に対する理解に差が出た。
GEを希望している患者に対し説明すると「全て了解が得られる」と回答した薬剤師が13人だったのに対し、希望していない患者に説明すると「全て了解」は1人にとどまった。
理解が得られにくい理由としては、「発疹を経験した患者で、薬剤ではなく薬剤師に文句を言うケースがあった」「患者負担額を計算すると、GE薬の方が高い場合もある」などがみられた。