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厚生労働省の地域医療支援中央会議は、医師確保対策の一つして、医師不足の地域に対し国レベルで緊急に医師を派遣するシステムを決めた。派遣を受ける医療機関は、二次医療圏内の中核的な病院で、医師不足のため休診した診療科があるなどが要件となる。派遣元として全国規模の病院グループや、退職医師などを公募して「ドクタープール」を作り、同会議が調整に当たる。
会合では厚労省が提示した、緊急臨時的医師派遣システムについて検討した。このシステムは、都道府県の医療対策協議会が病院からの要請を受けて派遣の是非を検討、都道府県から派遣要請を中央会議に行う。これを受け中央会議、または中央会議構成団体代表からなる幹事会が、派遣の可否や緊急度(優先順位)の検討を行う。
また派遣される医師は、全国規模の病院グループの勤務医や後期研修医、公募による退職医師などで構成されるドクタープールから検討されることになる。
派遣を受ける医療機関の要件は原則として、[1]二次医療圏内で中核的な病院[2]過去6カ月内に医師数減少で休診を余儀なくされた、あるいは余儀なくされる診療科があること[3]相当の努力(大学等への派遣依頼、求人)をしても確保不可能[4]派遣終了後に医師確保のアクションプランを作成””の4点を挙げた。地域医療の要件として、二次医療圏内に該当する医療を代替する医療機関がないことも求めている。
出席した病院関係者は賛意は示したものの、財政面や医師の厳しい勤務状況から派遣に対しては困難を指摘する声も多く挙がった。小山田惠全国自治体病院協議会長は、「病院経営が破綻しないよう、国による財政支援も盛り込んでほしい」と強く訴えた。既にグループ内で派遣を行っている日本赤十字社の山田史事業局長は、「10病院以上が不足地域に派遣しているが、グループ内が精一杯。協力したいが保証はできない」と実情を明かした。