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ジェンザイム・ジャパンは11日、酵素の欠損で筋機能障害により心不全や呼吸不全などを引き起こす糖原病II型の治療薬「マイオザイム点滴静注用50mg」(一般名:アルグルコシダーゼアルファ遺伝子組み換え)を発売した。乳児に起きた場合は急速に進行、平均1年以内で死亡してしまうというが、同社によるとこの薬剤の投与で2年程度の生存延長を確認し、治療を続けることで心臓や肺の機能改善が認められているという。
糖原病II型は、ライソゾーム病の一種で、酸性α‐グルコシダーゼ欠損症、ポンペ病とも呼ばれる。乳幼児だけでなく成人にも起きる。世界でも患者数は1万人以下、日本では30040人程度と推定される希少疾患。
同社によると、この疾患に対しては、有効な治療法がなく、呼吸に障害が出た場合は気管切開するなど対症療法が中心だった。
160例からなる海外データでは、乳児の生存延長期間が同剤による治療前が平均8・7カ月だったが、同剤の治療によって24カ月まで延びたことが認められた。成人を含め人工呼吸器を使用しなくてもよい生活を送れるようになった例も報告されているという。
用法・用量は、1回体重1kg当たり20mgを隔週点滴静脈内投与。薬価はバイアル当たり9万3994円だが、厚生労働省指定の特定疾患であるため患者負担に対し公費助成される。
同剤は欧米で昨年承認、日本では患者会や臨床現場、厚労省の未承認薬使用問題検討会議からは早期開発、承認が求められていた。
欠損することで症状を引き起こす酸性α‐グルコシダーゼは、ライソゾームという細胞内の小器官に存在し、グリコーゲンとグルコースに分解する役割を持つ。同酵素が欠損すると、ライソゾーム内にグリコーゲンが過剰になり、ライソゾームが肥大、筋機能障害が引き起こされる。