中外製薬は11日から、結腸・直腸癌に対する抗癌剤「アバスチン点滴静注用」(一般名:ベバシズマブ遺伝子組換え)を発売する。瘍増殖に必要な血管新生に関わるVEGF(血管内皮細胞増殖因子)を阻害するヒト化モノクローナル抗体。海外データを中心に審査されたため、安全に投与できる体制が整う約900施設での取り扱いに限り、全例調査を実施する。
発売されるのは点滴静注用100mg/4mLと、同400mg/16mLの2規格。適応は「治癒切除不能な進行・再発結腸・直腸癌」。1回5010mg/kgを他の抗癌剤と併用する。薬価は、100mg/4mLは1バイアル5万0291円、同400mg/16mLは19万1299円。
同社によると、既に欧米など海外では88カ国で承認され、標準薬として使用されている。日本では厚生労働省の未承認薬使用問題検討会議の要請を受け、主に海外データをもとに昨年4月に申請。国内データは18症例と限られるため、承認条件として全例調査により安全性を確認することが義務づけられた。
消化管穿孔や腫瘍部位からの出血といった重篤な副作用が発現する恐れもあるため中外は、「化学療法に精通し、副作用への緊急対応が可能で、全例調査に協力可能」な医療機関であることを確認した上で、納入する。8000900施設になるとみられ、来年末までに2500例を収集する計画という。
同社としては、癌専門MR400人の動員のほか、同剤の患者向け、医療関係者向けウェブサイトを近く開設することによって、安全性確保を徹底する。
見込む売上高は、初年度が70億円、ピーク時の10年目が301億円。