ロート製薬は、薬液があふれにくい、これまでにないさし心地の目薬「ロートナノアイ」シリーズを、10月10日に新発売する。目の疲れに効く清涼感度の高い「ロートナノアイ」(第3類医薬品)と、充血除去成分配合の「ロートナノアイ クリアショット」(第2類医薬品)の2品目で、発売初年度(14年3月末)で売上高10億円を目標に掲げる。吉野俊昭社長は18日に大阪市内で開いた会見で、目薬開発の過程では、度重なる特徴ある容器開発が目薬シェア拡大に貢献してきた経緯を説明。今回の新製品について「4度目の容器イノベーションとなり、目にスーッと均一に広がる差し心地と効果が特徴」と強調、期待を示した。
「ロートナノアイ」は、粘度の高いカルボキシビニルポリマー(CVP)を配合し、涙と混ざり合うことで目の中で一気に広がるのが特徴。こうした差し心地を実現するための容器として、極小ノズルを独自開発した。極小の1滴で目から薬液があふれず、ティッシュでの拭き取りの手間やメイク崩れの心配なく、点眼が可能という。
吉野社長は「現在、OTC目薬市場は約650億円という中で、ロートは国内シェア40%強とトップを維持し続けている」と現状を説明。グローバル展開では15カ国で販売しており、今後もアジアを中心に米国やアフリカなどに目薬の啓発を行いながら、点眼薬ビジネスを拡大していきたい考え。
さらに「医師との連携により、目の健康を維持するための眼病予防などの社会貢献、現地生産することで雇用の創出、目薬を使う習慣を根づかせる文化創造に努めていきたい」とした。
ナノアイシリーズの開発経緯について、上村秀人執行役員研究開発本部副本部長は「スキンケア製品が皮膚に塗った瞬間に伸ばすことができる基剤であるCVPを、目の粘膜の上でもできないかと着眼して目薬の開発を進めてきた」と説明。CVPの液剤自体は、同社の目薬「ロートジーコンタクト」の約400倍という粘度を持つが、ミネラル分を含む汗や涙がCVP配合製剤に混じると水のように溶けて広がり、眼球に均一に薬液を浸透させることができるという。
通常、目には20μLの涙液を保持する容積があるが、従来型の目薬の場合は、1滴量は30~40μLという量が一般的で、半数以上がこぼれてしまう。今回のナノアイは、液体製剤のままでは粘度が高いものの、滴下して涙と混ざるとサラッと快適となる製剤特性を生かすため最適量を検討したところ、12~15μLと通常の目薬の半分程度の容量であれば、目からこぼれずに快適に点眼できることを見出した。さらに、15μLという極小の1滴で点眼できる容器の開発に成功し、今回のナノアイに活用した。
今後は、人気俳優の伊藤英明、モデル・タレントとして活躍中の佐々木希を起用したTVCM等のプロモーションを展開していく。「ロートナノアイ」「ロートナノアイ クリアショット」の両品とも、容量は6mL入り、税込み希望小売価格819円。