薬事・食品衛生審議会の医薬品第1部会が5月28日、医薬品第2部会が5月30日に開かれ、新医薬品4成分などを審議、承認して差し支えないと結論した。第2部会では、日本が初承認となる新ニューキノロン剤「ジェニナック」、国内初の尖圭コンジローマ治療薬「ベセルナクリーム」が承認されることになった。両部会の審議品目のうち、「ベセルナクリーム」は新作用機序を持つことから、今月下旬開催予定の薬事分科会でも審議されるが、それ以外は分科会に報告される。
◇第1部会
<審議品目>
▽シングレア細粒4mg(万有製薬が輸入)、キプレス細粒4mg(杏林製薬が輸入):有効成分はモンテルカストナトリウム。1歳以上6歳未満の気管支喘息に対する用量追加と細粒剤の剤形追加。再審査期間は4年。原体・製剤とも毒劇薬の指定はなし。
▽トラバタンズ点眼液0.004%(日本アルコンが輸入):有効成分はトラボプロスト。緑内障、高眼圧症を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。原体のみ劇薬に指定。
▽ディビゲル1mg(ポーラファルマが輸入):有効成分はエストラジオール。更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flushおよび発汗)を効能・効果とするゲル剤の新剤形医薬品。再審査期間は4年。原体・製剤ともに毒劇薬の指定はなし。
▽シアリス錠5mg、同10mg、同20mg(日本イーライリリーが製造販売):有効成分はタダラフィル。勃起不全を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。バイアグラ、レビトラに続く三つ目。他の2剤に比べて半減期が長いことや、食事の影響を受けにくい特徴がある。再審査期間は8年。原体のみ劇薬に指定。
<報告品目>
▽塩酸エフェドリン注「フソー」(扶桑薬品が製造)、ヱフェドリン「ナガヰ」注射液40mg(大日本住友製薬が製造)、塩酸エフェドリン注「三研」(三和化学研究所が製造):有効成分はl‐エフェドリン塩酸塩。麻酔時の血圧降下に対する静脈内投与を追加し、既承認効能に対する筋肉内注射を削除する新効能、新投与経路医薬品。
▽タンボコール錠50mg、同100mg(エーザイが製造):有効成分は酢酸フレカイニド。頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)の効能を追加する新効能医薬品。
◇第2部会
<審議品目>
▽ジェニナック錠200mg(富山化学が製造販売):有効成分はメシル酸ガレノキサシン水和物。咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。既存のニューキノロン剤とは異なる構造を有し、特に呼吸器感染症の多剤耐性菌を含む起炎菌に強い抗菌力を示すのが特徴。現在、欧州では審査中であり、承認は日本が初めてとなる。再審査期間は8年。原体は劇薬に指定される予定。薬事分科会に報告される。
▽ベセルナクリーム5%(持田製薬が製造販売):有効成分がイミキモド。尖圭コンジローマを効能・効果とする新有効成分含有医薬品で、これを効能・効果とする薬剤は国内で初めて。これまでは外科的手術が必要だった。既に、世界75カ国で承認されているが、刺激性が強く、取り扱いに注意が必要なため、承認の際には患者用の説明文書をつけるよう指示される見通し。再審査期間は8年。原体が毒薬に指定される予定。
■イミグランの再審査期間延長
また第1部会では、2001年6月に承認された片頭痛薬の「イミグラン錠50」(有効成分はスマトリプタン)で、小児の用法・用量設定、および小児集団における有効性・安全性を把握する目的で、製造販売後の臨床試験(多施設共同、プラセボ対照、無作為割付、二重盲検、2期交叉比較試験)が計画されていることから、今月19日までの再審査期間を、さらに4年間延長することが了承された。
さらに、ムコ多糖症VI型を予定効能・効果とする「ガルスルファーゼ」(申請者:アンジェスMG)を、希少疾病用医薬品に指定することも了承された。