経営統合をめぐり迷走していたペンタックスとHOYAの両社は今日31日、HOYAがペンタックスを完全子会社化することで合意したと発表した。併せてペンタックスは、当初の合併合意を白紙化した綿貫宜司社長含む取締役8人が総退陣することになった。一連の騒動は昨年12月に発表した「対等の精神」による合併から、ペンタックスが子会社となる形での決着に動き出した。
発表によると、6月上旬からHOYAがペンタックス株全てを公開買い付け(TOB)で取得した後、株式交換などによって子会社化を進めるとしているが、詳細は今後詰める。買い付け価格は1株770円。
相互補完できる医療機器事業の強化が主眼にあった当初の狙いは生きている。両社は統合後、情報エレクトロニクス分野と、コンタクトレンズや医療用眼内レンズなどアイケア分野の安定した収益力を投入することによって、ペンタックスの内視鏡などを含む医療機器事業などの成長を図るとの方針を示した。統合してもHOYA、ペンタックスの各ブランドは残す。
併せて同日、ペンタックスは6月27日の株主総会に提案する社長交代を含む新しい役員体制を発表。綿貫氏の後任となる新社長には、執行役員コーポレートセンター経営企画統括部長の谷島信彰氏(52歳)を昇格させる。ほか7人の取締役も退任させ、6人の取締役からなる新体制となる。うち2人はHOYA取締役が就任する。
両社は昨年12月に経営統合で基本合意していたが、翌年4月にペンタックス内部から統合に反対する動きが出て、基本合意に携わった浦野文男社長を解任、代わった綿貫社長は合併の白紙化を表明。しかし、筆頭株主からは経営統合に替わる企業価値向上策が求められ、5月に単独成長による経営計画を示したものの、理解が得られていなかった。
- 【ペンタックスとHOYA】合併合意を白紙に‐経営統合の検討は継続
2007年04月11日