厚生労働省は新医薬品13成分28品目を、8日付で薬価基準へ追補収載する。内訳は内用薬5成分7品目、注射薬5成分13品目、外用薬3成分8品目。5月30日の中央社会保険医療協議会総会で、薬価算定組織の報告が了承されたもの。今回の算定ではアバスチン、アンカロン、アリクストラ、マイオザイムの4成分が原価計算された。このうちアバスチンについては、当初算定案に対し企業から不服意見が出されたが、却下されて当初案通りの薬価となった。また、フルダラとゼチーアに有用性加算IIが適用された。収載される新薬は次の通り〔文中の「市場規模」は企業の予測で、人数は患者数、金額は販売高〕
原価計算された品目のうちアバスチン点滴静注用は、血管新生阻害作用を有する抗癌剤で、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌が適応となる。算定組織から提示された案に対し申請企業の中外製薬は、学術情報提供活動のうち、製品説明会や最新医療情報提供活動にかかる費用を、必要経費として別途計上するよう不服を申し立てた。しかし算定組織は、適正使用の徹底や安全情報の提供といった業務の中で十分対応可能とし、要望を却下した。市場規模は、初年度が5600人で70億円、ピーク時の10年目が1万8400人で301億円。
アンカロン注は、K・Na・Caチャネルとβ受容体の遮断作用を示し、心室細動や血行動態不安定な心室頻拍という生命に危険のある不整脈のうち、難治性で緊急を要する場合に用いられる。市場規模は、初年度が1846人で1億円、ピークの10年目が9663人で5・5億円。
抗凝固剤のアリクストラ皮下注は、静脈血栓塞栓症の発現リスクが高い、下肢整形外科手術施行患者に対し、静脈血栓塞栓症の発症抑制に使われる。市場規模は初年度が4・6万人で10・1億円、ピークの10年目が19・3万人で51億円。
マイオザイム点滴静注用は、酸性α‐グルコシダーゼ作用を持つ酵素製剤で、適応症は糖原病II型。市場規模は初年度が42人で6億円、ピークの10年目が135人で33億円。
類似薬効比較方式Iで算定されたのは6成分。代謝拮抗剤のフルダラ錠は、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫のうち、再発または難治性の疾患に使われる。リン酸フルダラビン静注用を比較薬として算定され、10%の有用性加算が認められた。市場規模は、初年度が120人で0・6億円、ピーク時の5年目が900人で4・7億円。
高脂血症用剤のゼチーア錠は、コレステロール吸収抑制作用を示し、効能効果は高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、ホモ接合体性シトステロール血症。コレバイン錠を最類似薬として算定され、5%の有用性加算が適用された。市場規模は初年度が5・1万人で46・7億円、ピーク時の8年目が30・6万人で242・9億円。
ビジクリア錠は、大腸内視鏡検査の前処置における腸管内容物の排除を効能とする。市場規模は、初年度が4・3万人で1・21億円、ピーク時の7年目が77・9万人で22・1億円。
サルメテロールとフルチカゾンの配合剤であるアドエアディスカスは、気管支喘息に用いられる吸入剤。市場規模は初年度が9万人で30億円、ピーク時の7年目が74万人で415億円。
赤血球増加作用を有し、透析施工中の腎性貧血を効能とするネスプ静注用は、類似薬効比較で算定の後、外国価格調整による引き上げが行われた。市場規模は初年度が6・9万人で124億円、ピーク時の10年目が15・3万人で549億円。これに対し緑内障と高眼圧症に用いられるミケランLA点眼液は、外国価格調整により引き下げられた。市場規模は初年度が1万1450人で販売高は1・94億円、ピーク時の7年目が7万9543人で17・42億円。
このほか、気管支喘息に用いられるオルベスコインヘラー、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁を効能とするウリトス錠及びステーブラ錠の2成分は類似薬効比較方式IIで、骨粗鬆症を適応とするアクトネル錠及びベネット錠はフォサマックとボナロンの規格間調整で算定された。