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薬価制度維持、薬局の対応が鍵

2013年07月05日 (金)

 今年初め、日本保険薬局協会(NPhA)の中村勝会長は流通改善について、「3月末には一定の成果が得られるのではないか。成功裏に終わるものと期待している」と記者会見で楽観論を披露した。続いて、3月末までの進捗状況について、アンケート調査集計中のため紹介できないが、「最後の価格交渉の段階で相互に価格差があり、妥結が延びている。早期に正しい商習慣に基づく取引ができるようにしたい」と、次第に歯切れが悪くなっていった。

 そして先月末の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」で、3月取引分の妥結率は過去最低の81%、特に20店舗以上のチェーン薬局では49%と5割を割り込み、突出して低かった。過半数が価格が決まらないままで、医薬品の“取引”が行われている。

 年初の会見で中村会長が「流通改善は一時的なことではなく、正しい商慣行が長期的に確立されることが最大の目的」とし、薬価制度の堅持に向け努力する姿勢を強調。そのことは、もっともなことだが、現に異常な商取引状態が続いている。

 ちなみに病院は84%、診療所は97%、医療機関全体でも89%に対し、保険薬局は「その他の薬局」を含めた全体でも75%とはいかに。

 さらに、当日の会議では、日本医薬品卸売業連合会とNPhAとのワーキングチームの取り組みも報告され、薬卸連とNPhA会員企業の昨年10月~今年3月の取引基本契約書に基づく覚書締結状況を見ると、本覚書の締結率は取引数ベースで薬卸連が15%、NPhAが16%と低い状況にあることも示された。

 今回の結果について委員からは、妥結率が低かったが、「単品単価取引の原則を守る中で、薬価基準制度への理解が浸透し始めたこと」を評価する声は聞かれた。

 いずれにしても厚生労働省としては、「チェーン薬局で妥結率が5割を切るのは憂慮すべき事態。薬価基準制度を維持していくためにも、しっかりとした商取引を行ってもらいたい」と厳しい見方を示している。

 5月末現在、NPhAの正会員数は236社、薬剤師数(正・パート)は4万人に迫り、正会員の薬局数は9353店舗、調剤売上は1・4兆円に達する。これらを全国比で見ると、薬局数は5万5000件の約17%に対し、売上は全国6・3兆円の22%を占める。薬剤師数は薬局勤務14万5000人のうち約30%を占め、好むと好まざるにかかわらず、その影響は大きい。

 「価格の妥結」がなければ、実勢価格調査の前提が崩れ、薬価基準制度崩壊ともなろう。厚労省がNPhAに“早期妥結”を求めるのは当然。

 広く「薬価制度の堅持」の意味は理解されても、いざ実際の価格となると……。公定価格が必須という特殊環境のまま“薬の世界”でも、世の中でいう普通の商取引、商慣行など、今世紀中に確立できるのだろうか。



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