明治ホールディングス傘下で、菓子・乳製品・健康栄養などを扱う明治は、口腔乾燥のケアを目的とした茶カテキン配合の口腔湿潤ジェル「明治オーロラコート」(口腔化粧品)を、調剤薬局や病院売店、通信販売等を通じて28日に新発売する。高齢化の進展に伴い、オーラルケアにも関心が高まる中で、口腔内の湿潤・保湿効果を持つ次世代のオーラルケア商品を発売することで、口腔関連市場への新たなアプローチを図っていく。
高齢者では、嚥下や咳反射の低下による誤嚥性肺炎の患者が少なくない。特に高齢者は唾液分泌量の低下などで口腔微生物が増殖しやすくなっているため、口腔のケアでは口腔細菌の過剰な増殖を抑制し、口腔環境を清浄に保ち、感染症を予防することが重要となる。こうした視点から、口腔湿潤ジェルを用いることも有用とされている。
「明治オーロラコート」は、古来から嗜好飲料として親しまれているお茶から抽出した茶カテキンを、キサンタンガム(多糖類の一つで、水と混合すると粘性が出ることから、増粘剤として食品や化粧品の原料など幅広く用いられる)等からなるジェル基剤に配合した口腔湿潤ジェル。口腔内をやさしくコートし、口腔内バランスを整え、口腔乾燥をケアする。
やさしい味わいのフルーティー風味で、毎日の使いやすさを考え、甘さを控えめにしている。食後や就寝前など、スポンジブラシや指などに適量のジェルを取り、口腔内全体に塗布する。使用後は吐き出すか、または拭き取る。税込み希望小売価格は60g1785円。同社では口内が乾燥しがちな人、要介護高齢者を中心に幅広いターゲットを想定し、訴求していく考え。
なお、明治では日本大学、藤田保健衛生大学との共同研究により、茶カテキンを配合した口腔湿潤ジェルが口腔病原微生物に抗菌効果を示し、一方では正常な口腔環境の維持に必要な口腔常在菌には抗菌効果を示さないという“選択的抗菌効果”を発現することを明らかにしている。
お茶から抽出される茶カテキンを、キサンタンガム等からなる基剤に配合した口腔湿潤ジェル(カテキンジェル)を開発し、その抗菌効果を評価したところ、代表的な病原微生物である歯垢成熟・歯肉炎関連菌、歯周病原菌、う蝕原因菌、化膿性炎症起因菌、口腔カンジダ症起因菌に抗菌効果を示したが、口腔常在菌のレンサ球菌群には抗菌効果を示さない「選択的抗菌効果」を発現することが分かった。
今後は、カテキンジェルに関し、口腔内および全身性疾患に対する効果を中心に、臨床応用についての評価を進めていくという。