市場調査の富士経済は22日、年6回に分けて提供している医療用薬の市場調査結果をまとめ、抗癌剤など癌関連用剤市場は2015年段階で7750億円、06年に比べ伸び率は43%に達すると予想した。同市場は抗癌剤が牽引するとしている。また、今後の注目市場として経腸栄養剤を挙げた。
癌関連用剤市場のうち8割を抗癌剤が占め、2015年の市場規模は6550億円で06年に比べ44%伸びると予想した。人口の高齢化に伴う患者増や、分子標的治療薬など新規薬剤の投入、膵・肝・腎癌など難治癌に対する治療薬の登場、ドラッグラグ解消の行政施策が市場を後押しすると分析。
「抗体医薬やペプチド医薬、遺伝子治療などに関しては海外でも未だ実績がない分野だけに、新技術が製品の形で現実のものになれば、抗癌剤市場はさらに高い伸びを示す」と指摘している。
抗癌剤以外の2015年市場予測と06年比較の伸び率は次の通り。骨髄細胞の増殖を促すCSF製剤(320億円、10%)、制吐剤(375億円、48%)、癌疼痛治療剤(505億円、48%)。
また、注目市場として抗癌剤のほか、経腸栄養剤を挙げた。2015年市場は895億円、伸び率は12%で高齢者増が主要因。加えて06年度診療報酬改定で、栄養管理実施加算で処方が拡大され始めているという。さらに在宅や福祉領域での使用拡大を予測し、「熾烈なシェア争いや価格競争も更に激化することが確実である」と分析している。
調査は今年2月から4月にかけ、対象企業や関連団体への面接や電話取材により実施。調査対象は、抗癌剤、骨髄細胞の増殖を促すCSF製剤、制吐剤、癌疼痛治療剤、輸液製剤、経腸栄養剤、ビタミン剤、麻酔用剤、筋弛緩剤、免疫抑制剤、体内診断薬、消毒剤の12領域。
調査結果は「2007医療用医薬品データブックNo.5」(A4判、295ページ)として販売。価格は16万8000円。