厚生労働省は16日の中央社会保険医療協議会総会に、昨年4月から12月までの医療費の動向を報告した。それによると、医療費の伸び率(対前年同期比)は0.2%増で、406月、709月、10012月に区切ってみても大きな違いは認められず、「落ち着いた動き」となった。また、都道府県別の医療費についても報告され、東京都が全国合計の約1割を占める一方で、最も少ない鳥取県は東京都の20分の1程度であった。前年同期と比較した伸び率をみると、人口増の大きな自治体が高い傾向だった。
昨年4012月の医療費は、対前年同期と比較して0.2%増と、ほぼ横ばいで推移。1日当たり医療費で1.0%増え、受診延べ日数(患者数)は0.8%のマイナスだった。
医療費の伸び率を3カ月ごとに区切ってみると、406月は0.1%減、709月は0.2%増、10012月は0.4%増で、稼働日数などを勘案すると大きな差は見られず、厚労省は「落ち着いた動きである」と分析している。
病床規模別に、医科入院の1日当たり医療費の伸び率と05年度の伸び率差をみると、200床未満が1.9ポイント減、200床以上が0.9ポイント減で、200床未満で大きな変化が見られた。さらに、200床以上でみると、2000300床未満では0.9ポイント減、3000500床未満で0.6%ポイント減、500床以上が0.5ポイント減となり、病床数が多いほど伸び率の差は小さかった。
一方、都道府県別の医療費は、昨年4012月の全国合計24兆2507億円のうち、東京都が約2兆4454億円で約1割を占めていた。大阪府1兆8094億円、神奈川県1兆3968億円の順で続いている。最も少ないのは鳥取県の1312億円で、大きな差が見られた。伸び率(対前年同期比)でみると、愛知県が1.3%増で最も高く、最も低いのは岩手県の2.0%減で、基本的には人口の伸びが大きい自治体の伸び率が大きいという傾向だった。
1日当たり医療費では、北海道の1万4258円が最も高く、次いで沖縄県1万3703円、高知県1万3030円の順。一方で最も低いのは佐賀県の1万0753円で、三重県1万1209円、埼玉県1万1323円などが続く。対前年同期比では、最も高いのは青森県の1.7%増、最も低いのは岐阜県の0.3%減で、その間に大きな差は見られなかった。
調剤をみると、全国合計は対前年同期より3.1%増の3兆5224億円であった。こののうち東京都が4270億円を占めた。神奈川県2569億円、大阪府2243億円の順で続いている。最も低いのは福井県の131億円。対前年同期比では、福井県が24.0%増で最も高く、沖縄県の0.6%増が最も低かった。基本的には、医薬分業の進展している度合いが高い自治体では伸び率が小さいという傾向だった。