当初は限定店舗での発売
生活習慣病を対象とした日本初のスイッチOTC薬が、15日から発売された。有効成分のEPA(一般名イコサペント酸エチル)を1包中に600mg含有し、健康診断等で指摘された境界領域の中性脂肪値を改善させる内服薬で、大正製薬が「エパデールT」、日水製薬が「エパアルテ」の製品名。いずれも第1類医薬品ではあるが、同品は承認要件として適正使用調査を行い、300例のデータ収集(両社150例ずつ)が課せられたことなどの制限もあり、大正では全国の薬局のうち約1500店舗、日水では約150店舗での限定発売となった。
中性脂肪異常改善薬「エパデールT」「エパアルテ」は、持田製薬が医療用医薬品として製造販売している高脂血症・閉塞性動脈硬化症治療剤「エパデール」を、一般用医薬品に転用したもの。
エパデールは、持田が世界で初めて医療用薬として開発した高純度EPA製剤で、EPAの高度な精製技術と大量生産能力を持つ日本水産から原体供給を受け、1990年に販売が開始された。安全性と有効性が実証されているエパデールに関しては、持田では今後も医療用としての販売を継続していく。
今回発売された「エパデールT」「エパアルテ」とも、健康診断等で指摘された“境界領域の中性脂肪値の改善”を効能とするスイッチOTCで、中性脂肪値が「150mg/dL以上300mg/dL未満」の人に限り服用できる。
また、全国発売に先立って、厚生労働省の指示によって適正使用調査が実施されるのも大きな特徴。同調査は、薬剤師が服用対象となる購入希望者を判断し、服用指導や受診勧奨等を適切に行えるかを確認するためのもので、調査期間中は調査実施店(研修を受けた「販売認定薬剤師」のいる店舗)に限定しての発売となっている。発売後300例のデータ収集後に、本格販売が可能となる。
両品とも、20歳以上は1回1包を1日3回服用することとなっており、税込み希望小売価格は「エパデールT」が42包5800円、「エパアルテ」が42包5800円、84包1万1600円。
大正では「エパデールT」を適切に服用してもらうため、専用サイト(http://www.taisho.co.jp/epadel-t)を開設し、製品情報と共に、中性脂肪値やEPAに関する解説、効果的な使い方などの情報提供を始めた。
日水製薬も、同社製品を取り扱う小売組織「健康創造未来研究会」の会員薬局等が中心の販売となるが、「これまでの健康相談やカウンセリング販売で培った豊富な経験を生かし、薬剤師による購入時の情報提供サポートに注力していく」とする。
「販売認定薬剤師」が対応製品の認知向上に努める
スイッチOTC薬で初となる生活習慣病対応薬の店頭販売がスタートしたが、今回は厚労省から店頭で適正な販売が行えているかの適正使用調査300例を収集することが求められているため、販売については事前にメーカー主催の研修会を受講した「販売認定薬剤師」のみしか取り扱えないスタイルとされている。
大阪府下の大手ドラッグストア店頭には、16日夕刻から大正製薬の「エパデールT」が設置された。動脈硬化の進行状況などを示すPOPのほか、購入時に必要なセルフチェックシート、製品説明小冊子なども配置して、来店者に対して製品の存在をアピールしていく考えという。
同店の販売認定薬剤師によれば、「お客さんに説明して、調査に参加いただくことを前提に販売するため、まずは馴染みの利用者に協力を依頼する形になるだろう」としている。