科研製薬は、年末から来春にも、歯周病で一部失われた歯槽骨を再生する治療薬「KCB1‐D」のPIIIに入る見通しとなった。同社によると、これまでの治験では再生作用が認められ、安全性にも特に問題点はなかったとしている。この種の薬剤は世界にもなく、国民病ともいわれれる歯周病の患者数の多さから期待を寄せ、2010年の上市を目指している。
同剤は、遺伝子組み換え技術により製造されたヒト型bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)製剤で、創傷部位の再生を促す作用を持つ。科研は米カイロンから、全世界での開発、販売、製造ができる権利を取得しており、褥創などに用いる「フィブラストスプレー」が既に販売されている。
再生作用を生かし、歯周病治療薬としても開発を進めてきていた。局所にとどまり薬剤の効果を上げる製剤上の工夫もなされているという。
進行した歯周病では、度重なる炎症で歯を支える歯槽骨が破壊される。重度の場合では、歯肉を切開して炎症組織を除去した後、歯肉を元通りに縫い合わせる「フラップ手術」が行われるが、歯槽骨の再生はできないのが現状。同剤はそうした際の歯槽骨再生が主なターゲット。
これまでの治験でも有効性、安全性が確認されたことから、治験の最終段階であるPIIIに進めることになった。2010年の上市を目標にしていおり、ピーク時売上高として100億円以上を見込んでいる。
bFGF製剤は骨折などの治療薬としても開発が進められており、その中で開発後期にあるのが、フィブラストの「糖尿病性皮膚潰瘍」の適応追加(09年上市目標、ピーク時売上高50億円)。2007年度は歯周病治療薬と併せて開発を加速させるため、研究開発費は今年度より約4億円上積みして69億円を計上した。