厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」は26日、ワーキンググループ(WG)から提出された国内未承認薬、[1]ボリノスタット(効能・効果=皮膚T細胞性リンパ腫)[2]テルビブジン(B型慢性肝炎)――の2品目に関する検討結果報告書を了承した。これを受けて厚労省は、関係企業に承認申請や治験開始等を要請する。
ボリノスタットは経口の抗悪性腫瘍剤。米国では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に対する皮膚症状の適応で承認されている。
WG報告書によると、CTCL患者に対する同剤の有用性は明らかであり、再発・再燃非ホジキンリンパ腫を対象に実施された国内PI試験において、1日400mgを2週連日、3週ごと反復経口投与の可能性が確認され、濾胞性リンパ腫とマントル細胞リンパ腫で奏効例が認められたとした。
一方で、同剤の臨床開発を行っている米国メルクと万有製薬が、日本にはCTCL患者が少ないことを理由に、非ホジキンリンパ腫に対する国内PII試験には消極的で、より患者数が多い非小細胞肺癌、急性骨髄性白血病の臨床試験を先行させようとしていると指摘。わが国のCTCL患者に同剤が投与できる時期が遅れるとの懸念を表明し、CTCLを含む非ホジキンリンパ腫に対する国内PII試験が、1日も早く実施されることを期待するとした。
テルビブジンは経口抗ウイルス剤で、米国では慢性B型肝炎(ウイルス増殖を伴い、血清アミノトランスフェラーゼの持続的上昇または組織学的に活動状態にある場合)の適応で承認されている。
わが国ではB型慢性肝炎に対する抗ウイルス薬として、2000年9月に核酸アナログ製剤のラミブジンが承認され、その後04年10月にアデフォビル、06年7月にはエンテカビルが承認されている。テルビブジンはラミブジンと同等の有効性が示されており、耐性株の頻度は年間5%と、ラミブジンの10015%より低い結果が報告されている。
日本ではB型慢性肝炎患者の未治療例に対してはエンテカビルが、またラミブジン耐性にはアデフォビルが第一選択薬として使用されている。報告書は、テルビブジンはラミブジンより有用性に優れていると考えられるとしたものの、エンテカビル、アデフォビルとは直接的な比較がなされていないため、判断ができないとした。
現在、3種類の核酸アナログ製剤が使用可能な状況下で、急務とは言い難いが、B型慢性肝炎の治療には、作用機序や耐性プロファイルの異なる薬剤を組み合わせて、抗ウイルス効果を最大限に発揮する多剤併用療法が必要と指摘。第4の治療薬として医療上の必要性があるとし、国内で治験が開始されることが望まれると結論づけた。