薬事・食品衛生審議会薬事分科会は23日、企業と研究者の寄付金に絡む利益相反問題で、暫定措置として、審議会委員などが年間500万円以上寄付金を受領していた場合、その委員は該当する企業の製品について審議・議決に関与できないことを申し合わせた。委員の利益相反に関する正式なルールは今後、有識者によるワーキンググループ(WG)を組織し検討していく。
暫定措置は、米国食品医薬品局(FDA)や欧州医薬食品庁(EMEA)の規定も参考として策定されたもの。具体的には、過去3年間に審議品目の製薬企業からの寄付金等が、▽年間500万円を超える年がある場合は、審議・議決に加わらない▽受け取り額がいずれも年間500万円以下の場合は、意見は述べられるが議決には加わらない””としている。
この措置は分科会のほか、医薬品第一部会・第二部会など、個別の医薬品等の承認審査や安全対策に関わる審議を行う部会・調査会に対し適用される。
寄付金等には、受託研究費やコンサルタント料、特許権使用料、原稿料といった報酬も含まれる。規制の対象は、委員個人宛のものに加え、個人口座への入金など、実質的に個人に宛てたとみなせる場合も適用される。ただし、寄付金等が原稿料・講演料やこれに類する報酬のみで、かつ、いずれも年間50万円以下の場合には当てはまらないものとされた。
今回の暫定措置は、緊急を要するとして定められたもので、今後、分科会等の審議の公平性・透明性を図っていくため、6月中にも研究者や弁護士等の有識者で構成されるWGを立ち上げ、年内には寄付金等の基準が策定される予定。