薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、3月に起きた信越化学工業直江津工場の爆発事故で、国内外で圧倒的なシェアを持つメチルセルロースなどの医薬品原料が生産停止となったことについて今後の対応を議論。供給再開までの間、代替原料を使用した製剤への切り替えを、薬事法上の「軽微な変更」として扱う緊急措置をとることで合意した。
信越化学の事故では、メチルセルロースほか5種類の医薬品添加物が生産停止となったが、いずれも国内では約100%、世界でも500100%のシェアを持ち、医薬品供給への影響が懸念されていた。
厚生労働省が製薬企業に調査したところ、16日までに約160社から回答があり、信越化学が供給再開目標を6月中旬頃としたのに対し、調査結果によれば当該原料を使用した医薬品については、先発品だけでも4月に数品目、5月に約10品目、6月に約40品目の製造が必要とされた。後発品・一般用医薬品も含めれば4月06月に必要となるのは約400品目に及ぶ。
このため厚労省医薬食品局では、緊急措置が必要と判断。供給再開までの間、代替の添加物を使用した製剤への切り替えを、薬事法上の「軽微な変更」として届出により扱うことを決めた。
その際は有効性・安全性の確保のため、▽既承認の医薬品に使用されている添加物を選定する▽溶出性について通常製剤との比較検討及び、ロットごとの規格適合試験を行う▽副作用情報の収集など安全対策を入念に講じる””などの条件を設けている。
また、添付文書には緊急に代替の添加物を使用して製造した旨を記載。代替製剤の出荷開始や、検査結果、出荷を適当と判断した理由などについては、製造販売業者のホームページに掲載するものとした。