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18日から3日間、東京ビッグサイトで開かれたCPhIジャパン2007(第6回国際医薬品原料・中間体展)でインドカンファレンスが行われ、インドの製剤市場、医薬品企業の動向が取り上げられた。エーザイのインド子会社取締役のH・ガルグと、みずほコーポレート銀行産業調査部の野地徹の両氏は共に、2005年に物質特許が認められたことや中間所得層の増加、慢性疾患の増加見通しなどで、[1]インド市場の魅力が国際的に高まる[2]インドの大手製薬メーカーは海外展開を強化し、日本への進出も加速させる可能性がある――ことを指摘した。
インドは現在、GDPは日本の10の1程度。世界医薬品市場シェアは約1%で、インド国内市場規模は58億ドルにとどまる。医療保険への加入も人口の1割程度とみられ、薬剤は原則自己負担。
しかし、経済全体の成長率は約7%と高く、医薬品市場は約10%成長している。今後、購買力のある労働力人口が10年には人口の6割以上に達すると予想され、中間所得層の増加も見込まれている。物質特許が施行されたこともあり、新薬投入を当て込み国際的製薬企業も事業強化を始めている。
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みずほ銀行で医薬・バイオセクター担当調査役を務める野地氏は、「欧米の成長率に限界が見えてきているのとは逆に、安定して成長する市場としてはインドに目が向いてくる」と指摘。慢性疾患の増加、新薬開発の増加で、低いとされてきた薬の価格が上昇し、市場拡大が期待されると分析した。
ただ、すぐには市場は大きくは動かず、「ターニングポンイト」は新薬上市の活発化、世界シェアが5%を超えたところにあるとし、新薬価格の上昇と相俟って「市場成長も加速するだろう」との見方を示した。
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またガルグ氏は、人口構成や疾病構造の変化のほか、インドは直接投資が可能で、価格統制する品目も削減方向にあルことに加え、税制優遇のある経済特区もできていいるなど、市場としての魅力を高める取り組みがなされていることも説明。インド内外の企業が新薬開発に動いてきていることから、原薬や製剤生産だけでなく、CROなどのアウトソーシング市場も成長してくるとの見通しを示した。
また、物質特許の施行で、新薬を投入する環境が整ったことについて野地氏は、ランバクシーやドクターレディ、シプラなどインド大手製薬企業が、ジェネリック(GE)と共に新薬開発を手がけ、その投資費用回収などのため海外展開を強化するとの見通しを示した。
実際、既に米国、欧州への投資が行われており、06年にはランバクシーがルーマニアのテラピア社を3億2000万ドルで、ドクターレディが独ベタファーマを5億7000万ドルで買収している。野地氏は、製造拠点の確保から販路の確保へ動いてきていることや、買収額が高額化してきているとした上で、「次は日本企業かもしれない」との見通しを示した。
ガルグ氏も「日本に進出したいと思うところは増えるだろう。米国のようにM&Aが行われることになるだろう」と予測した。
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