医薬基盤研究所は、5年計画で進めてきた「トキシコゲノミクス・プロジェクト」が昨年度で終了したことから、新たな5年計画「トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト」を立ち上げた。前プロジェクトで取り組まれた、トキシコゲノミクス手法を用いた医薬品安全性予測システム構築研究の成果を引き継ぐもので、基盤研の2期計画と位置づけられている。第1期計画でのデーターベースを活用し、新規化合物等のヒトへの外挿性の向上のための手法開発、ゲノミクス試験標準化など、医薬品の安全性向上への取り組みを、産学官連携の共同研究プロジェクトとして、引き続き推進していく。
第一期計画では、約150の化合物(医薬品等)をラット個体やラット・ヒト肝細胞へ暴露した際の毒性情報、遺伝子発現情報などを収載した大規模なデータベース(TG-GATEs:Toxicogenomics Project-Genomics Assisted Toxicity Evaluation system)を構築している。
新5カ年計画ではこのデータベースを活用し、ヒトへの外挿性の向上など毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価・予測の向上や、ゲノミクス手法を用いたデータの処理・評価のガイダンスといったレギュラトリーサイエンスへ取り組みなど、医薬品の安全性向上を目指し、前回と同様に産学官連携の共同研究プロジェクトとして実施される。
取り組む研究課題としては、▽蓄積データのインフォマティクスによる解析とバイオマーカー探索▽動物のゲノミクスによる毒性予測からヒトにおける副作用の外挿性の研究による精度・予測性の向上▽ゲノミクス試験の標準化、トキシコゲノミクス評価のガイダンス””などが中心に据えられている。
なお、プロジェクトの規模にもよるが、ゲノミクスデータとして30化合物の追加、安全性バイオマーカー候補として30の探索をメドに、研究が進められる予定だ。