国立情報学研究所(NII、坂内正夫所長)は、大学などに提供してきた学術論文300万件のデータを、「Google(グーグル)」から利用できるようにした。NIIでは、日本の主要学術雑誌約2800誌の電子化とオンライン提供を行ってきたが、次世代学術コンテンツ基盤整備の一環として、新たに「グーグル」からもアクセスできるようにすることで、日本の主要学術論文の国際的情報発信力の強化を図っていくことにしている。
NIIは、大学等の教育研究機関や学会等の学術コミュニティとの連携をベースにして、学術コミュニティが必要とする学術論文、図書、データベースなどの学術コンテンツを形成・確保し、それに新たな価値を付けて社会に広く発信するための次世代学術コンテンツ基盤の構築を推進している。
その一環として、「CiNii(サイニイ:NII論文情報ナビゲーター)」に格納された国内主要学術論文約300万件の論文データを、「グーグル」による情報取り込みの対象とした。これにより、学術情報特化型のサーチエンジンである「Google Scholar(http://scholar.google.com/)」からアクセス可能となった。
これらの学術論文は、これまでもサイニイの検索画面から利用することができたが、今回の情報発信力強化によって、学術論文へのインターネット上の入り口が飛躍的に拡大し、研究者だけでなく、誰もがビジネス、教育、その他の日常生活の様々な場面で、手軽に学術論文を利用することが可能になる。NIIでは、今回を第一歩と位置づけ、より高品質で利便性の高い次世代学術コンテンツ基盤の構築に取り組んでいく考えだ。