7月にも統合予定のバイエル薬品と日本シエーリングの両社長を務めるジャン‐リュック・ロビンスキー氏は11日、都内で社長就任後初めて記者懇談会に出席し、「私たちが活動している特定領域で一番優秀な会社になり、市場成長率を上回る成長を目指す」と、統合後の抱負を語った。来夏にも予定するシエーリングの大阪工場閉鎖などによって約250人の人員削減を表明する一方、両社製品、開発品を合わせることで癌領域のほか心血管系疾患領域でもシナジーを出せると自信を見せた。また、世界同時開発にも取り組むことを表明した。
ロビンスキー社長は、バイエルでの14年のうち12年はアジア諸国を担当、この日も日本語で説明した。両社の2006年度業績合算で売上高は1570億円、プライマリーケア領域が約半分、画像診断薬が約3割を占める。従業員は4月現在で2630人、MR数1280人。中期的な事業目標は今後検討するという。
同氏が説明した統合作業状況によると、現在、両社を一つのマネジメントチームで経営。7月に統合、2008年半ばには、両社本社を移転し一本化、工場も大阪工場を閉鎖し、滋賀工場に一本化する。工場や管理部門などを中心に約250人の人員削減を行い、コストシナジーを出すという。
売り上げシナジー面では、両社が持つ抗癌剤による癌領域の強化のほか、糖尿病自己血糖測定などの事業のバイエル薬品への取り込みや、シエーリングの持つ画像診断分野、女性向け製品などによって、糖尿病や高血圧、高脂血症など心血管系領域の治療薬でもシナジーを生み出せるとした。
期待する新薬としては、昨年6月に申請した分子標的型の腎癌治療薬「ネクサバール」、昨年12月に申請した高リン血症治療薬「フォスレノール」、現在PIIにある血栓塞栓症を治療する抗Xa剤「リバロキサバン」を挙げた。また、シェリング・プラウの薬剤でバイエルが共同販売する新しい作用の高脂血症治療薬「ゼチーア」も寄与してくるとした。
今後の研究開発戦略について、「日本では新薬の承認は遅れており、当局が審査期間を短縮するだけでなく、会社としても早く申請するようにしなければならない」と述べ、国際共同治験、アジア諸国との共同治験に取り組むことを表明。
同席したバイエル薬品の栄木憲和代表取締役会長は「グローバルスタディは日本も同時スタートにするのがわれわれの戦略だ」と語った。