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【独ベーリンガーインゲルハイム】癌領域に参入

2007年04月09日 (月)

ハイル会長
ハイル会長

 独べーリンガーインゲルハイム(BI)が、癌領域に参入する。日本BIのトーマス・ハイル代表取締役会長ら幹部が5日に明らかにした。現在海外でPII段階にある分子標的薬など新薬候補が3品目あり、それを日本市場にも投入。海外データ活用などにより同時申請を目指す。

 同社は、呼吸器、循環器、泌尿器、中枢神経の領域の薬剤に強みを持ち、癌は経験したことがない。しかし、癌領域では分子標的の低分子薬、抗体医薬など新しい形の薬剤が開発、上市されてきており、国際的に大手企業を含め競争が激化している。

 日本BI幹部の記者会見で、ハイル会長は「将来に向けてオンコロジー領域を開拓していく」と表明した。現在、海外でPIIある新薬候補はまだ詳細な適応は明かしていないが、3品目あり、いずれも自社創製品。

 一つは癌細胞の成長に関与する血管新生を阻害する「BIBF1120」。「トリプルアンジオキナーゼ阻害剤」と呼ばれ、血管新生に関与するVEGFR、PDGFR、FGFRの三つの受容体を標的として阻害する。三つの候補では唯一、日本で臨床試験入りしており、現在PI段階。進行固形癌への適応を目指している。

 二つ目は、細胞の増殖のプロセスである細胞周期に影響を及ぼし、増殖を止める「BI2563」。分裂期キナーゼの一つであるポロ様キナーゼ1(Plk1)が標的で、Plk1はビメンチンのリン酸化反応を制御していることが報告されている。Plk1の過剰発現は、癌の悪性度や予後不良と相関するといわれており、同社が行った前臨床試験では、広い範囲の癌に作用していることから、様々な癌への適応を視野に開発するという。

 三つ目は、癌細胞の成長に関与する蛋白質EGFRとHER2を阻害し、増殖抑制、細胞死につなげるという「BIBW2992」。両蛋白の過剰発現も予後不良や進行と関わっている。同社は、多くの固形癌の進行抑制に作用することから、様々な癌での開発を進めることにしている。

 今後の事業化戦略について、トーマス・クーナー取締役医薬開発本部長は、「様々な癌種に対応していきたい。日本でも海外データをブリッジングすることなどにより、同時申請できると考えている」と説明。ターゲットとする癌や市場でのプレゼンスは、臨床試験結果などを見極め5年程度かけて明らかにしていく考えだ。なお、癌領域拡充のためのアライアンスなどについては明らかにしていない。

 会見ではそのほか、日本BIの大澤昭夫社長が、かねてから表明していた売上高を2010年度に2000億円(2006年度1323億円)にすることについて「私は達成できると思う」と述べた。

 AII受容体拮抗型降圧薬(ARB)「ミカルディス」やCOPD治療薬「スピリーバ」、パーキンソン病治療薬「ビ・シフロール」の主力3品目の売上高を引き上げることを軸に、今年中にもMRを100人以上増員し1000人体制にすることと、一人当たり生産性を向上させることで達成するとした。

 MRの生産性は04年の1.2億円から06年には1.6億円となり、同社は2億円をメドに取り組むという。



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