抗癌剤による健康被害の救済制度を導入する可能性を探っている厚生労働省の検討会が11日に開かれ、森嶌昭夫座長(名古屋大学名誉教授)が「制度ができればなお良いが、これまでの議論を社会に問うことによって、理解してもらうことに意味がある」と述べ、新制度の実現は難しいとの認識を示した。
同検討会は、薬害肝炎検証委員会の最終提言を受けて1年前に発足した。当初は、昨年末の取りまとめを予定していたが、患者が副作用を受け入れて使用する抗癌剤に救済制度を適用する技術的な問題のほか、製薬企業の開発意欲や医師の処方への影響に見通しが立たないために、結論を今夏に先送りする方針に転換した。