医療関係40団体で構成する国民医療推進協議会(会長:横倉義武日本医師会長)は18日、東京駒込の日本医師会館で総決起集会を開き、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に反対する決議を採択した。
大会終了後の会見で横倉会長は、TPP交渉参加の前提として、営利企業の医療機関経営への参入や民間保険の拡大などを対象から除外する政府の明確な意思表示が必要との認識を強調し、「政府が統一見解を出さずに交渉を開始すると非常に危険性が高い」とも指摘し、過去の医薬品・医療機器をめぐる日米分野別協議の経緯から「交渉力に不安がある」と述べた。
大会では中川俊男日医副会長が、「TPPにおいて公的医療保険制度が対象にならない確証は全くない」「このまま交渉に参加すれば、アメリカが主導している医療の市場化、公的医療保険の縮小を要求してくるのは明らか」と分析した。さらに、政府の動きから「近々に交渉に参加しようとしている」との見通しを示し、「もはや猶予はない。交渉参加を断固阻止しなければならない。日本の医療、国民皆保険制度を死守しなければならない。総力を結集しよう。力強く反対運動をしていこう」と呼びかけた。
薬剤師の立場から決意表明した児玉孝日本薬剤師会長は、知的財産権の保護が強化される可能性を指摘し、「知的財産を多く持つアメリカの企業が特許期間を意図的に長くしたり、治験データの独占権が強化されると、後発品の使用促進が阻害される」と危機感を示した。また、薬価制度が対象になることも懸念し、「TPPに軽く乗ることなく、しっかりやってほしい」と政府に注文した。
決議文
TPPに参加すれば、わが国の医療が営利産業化する。その結果、受けられる医療に格差が生じる社会となることは明らかである。
よって、わが国の優れた国民皆保険の恒久的堅持を誓い、その崩壊へと導くTPP交渉参加に断固反対する。